先頃、国家知識産権局が『2019年中国専利調査報告』(以下、『報告』という)を公表した。『報告』によると、調査を受けた専利権者のうち、当面の知的財産権保護水準が適切と認められるものは前年より10.2%増え、厳格保護の効果が専利権者に評価された。中国の知的財産権保護制度は権利侵害の代価を高め、知財保護環境を一層最適化する面において新しい成果を収めており、権利取得・権利確認段階における知財保護の強化等に対する企業のニーズが大きい。
『報告』は次のように指摘している。中国知的財産権の発展において、企業の専利技術の移転が輸出より輸入が多いこと、国際専利技術の取引に地域的な集中が現れていること、戦略的新興産業用の専利技術の導入が難しいことなどの問題点がある。中国における専利技術の移転と転化を促進し、国際イノベーションリソースを効果的に集めるため、『報告』は三つの提案をした。第一に、対外開放を一段と拡大し、法により知的財産権を厳格に保護し、世界トップレベルの経営環境を作り上げて、国際市場における科学技術イノベーション要素の良好な流動を促進するために基礎を固める。第二に、強制的な技術譲渡の禁止についての国際承諾を遵守するとともに、『知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPs)』に明確に規定された競争制限行為、知的財産権濫用となり得る行為、例えば、知的財産権の有効性に対する異議の提出の禁止や、排他的なグラントバック条項を入れるなどの行為を厳しく規制する。第三に、企業はイノベーション力を引き上げるとともに、知的財産権の活用レベルを高め、専利技術の国際貿易に関する予測・交渉の能力を一層高め、自身に対する競争制限行為の影響を最小限に抑える。
国家知識産権局は12年連続でこの専利調査を進めてきた。2019年の専利調査では、専利権者アンケート調査書1.35万部、専利情報アンケート調査書4.25万部を配り、有効な回答書それぞれ1.28万部と3.73万部を回収し、回収率は94.7%と87.8%であった。国家知識産権局はこれからも引き続き年度専利調査報告を公表し、政府の政策決定、および政策研究に情報データと関連サービスを提供する。