IP情報

News and Insights

最高裁、最高検が知的財産権刑事案件に関する司法解釈を公布

時間:2025-06-03

分享到:

プリント

中国の最高裁判所と最高検察庁は共同で記者会見を開き、『知的財産権侵害刑事案件の適用法に関する若干問題の解釈』(以下、『解釈』という)及び9件の知的財産権刑事保護典型的判例を公布した。

『解釈』は、従来の3部の関連司法解釈に含まれていた有効な規定を吸収・統合すると同時に、その3部の司法解釈を廃止して、司法実務の操作性を上げ、刑事案件処理を効果的に規範化し、法律の適用基準の統一を確保するものとなっている。『解釈』は厳格な保護、法に基づく解釈、法治の統一、問題解決志向を堅持し、全文31条からなり、以下の5つの部分で構成されている。

一、商標権侵害に関する規定。『解釈』は、実務上論争の多い「同種の商品・役務」、「同一の商標」、「登録商標標識」などの認定基準をさらに明確化し、従来の司法解釈を吸収・統合した上で、役務登録商標の偽造・偽称など商標権侵害の成立要件を追加規定した。

二、専利製品偽造・偽称に関する規定。『解釈』は「他人の専利を偽造・詐称する」具体的な状況及び専利偽造・偽称罪の成立要件を規定し、実情に合わせて適切に有罪認定基準を引き下げた。

三、著作権侵害に関する規定。『解釈』は論争の多い「著作権者の許諾を得ずに」「複製発行する」などの認定基準をさらに明確化し、従来の司法解釈を統合した上で、著作権侵害罪の認定基準を規定した。

四、営業秘密侵害に関する規定。『解釈』は「窃盗」、「不正アクセス」などの不正手段の認定基準をさらに明確化し、営業秘密侵害における「深刻な情状」の具体的な規定を定めるとともに、損害額・違法所得額などの認定基準を明確にした。

五、知的財産権侵害罪の共通問題に関する規定。『解釈』は、知的財産権侵害犯罪における共同正犯、刑罰の加重・軽減、罰金の適用、企業犯罪、没収・廃棄などの適用基準並びに不法営業額、違法所得額、売上高などの具体的な認定規則をさらに規定した。

『解釈』の公布と同時に、最高裁と最高検は9件の知的財産権刑事保護典型的判例を発表した。これらは実務上よく見られる法律適用上の争点に関わるものであり、『解釈』の精神を反映し、『解釈』の正確な理解と正しい適用に資するものとなっている。

(出所 中国最高検の公式サイト)