先頃、中国最高裁は『最高裁知的財産権法廷年次報告(2024年)』を発表した。報告書によると、2024年に最高裁知的財産権法廷が受理した技術系知的財産権及び独占禁止案件は6229件(うち新規受理3015件)、裁判終了した案件は4213件、裁判未完の案件は前年同期比37.3%減の2016件であった。実体的案件の平均審理期間が約11.5日短縮され、「差戻し判決より変更判決」という理念を堅持し、差戻し判決はわずか2件、民事実体的案件の調停・取下げ率は40%を超えた。
科学技術革新の司法保護の面では、集積回路、工作機械、基本ソフトウェア、科学研究機器、バイオ医薬、新エネルギー、新材料などに係わる知的財産権紛争を適切に審理し、新規に受理した特許権侵害案件は818件で全体の四分の一以上を占めた。戦略的新興産業関連案件が年々増加し、2024年には全体の約三分の一に達した。「新エネルギー車の車台」に係わる技術秘密侵害案件では、懲罰的賠償を適用して6億4000万元を超える賠償を命じ、侵害差止め責任の具体的分担方法を細分化するとともに、非金銭的な義務の履行遅延金算定基準を初めて明確化し、当事者の積極的な履行を促した。種苗産業の知的財産権保護を強化し、植物新品種の二審民事実体的案件276件を受理し、裁判終了した案件は前年同期比6.4%増の166件で、品種権者の勝訴率は90%に達した。医薬品パテントリンケージ制度の完備化を推進した。2022年に医薬品パテントリンケージに係わる二審案件を受理して以来、法に基づき37件の上訴案件を受理し、すべて速やかに裁判を終了した。侵害賠償額の引き上げにより、司法判決の科学技術革新に対する指導的役割を引き続き強化した。懲罰的賠償制度を着実に実施し、権利濫用を効果的に防止して、知的財産権保護の難題解決に努め、「高品質」が「厳格に保護」されるようにした。18件の案件に対して懲罰的賠償を適用し、賠償総額は8億7300万元に達した。
公平な競争に対する司法保護の強化と全国統一の市場構築の支援の面では、2024年に最高裁知的財産権法廷が新規に受理した独占禁止案件は79件、裁判終了した案件は97件で、独占禁止法違反と認定された案件は17件で前年同期比4.6倍の増加となった。社会生活分野の独占禁止の法的規制を強化し、教育、医薬、食品、水道・ガス供給、モビリティサービス、建材供給等の生活関連案件31件の裁判を終了した。新規に受理した技術秘密侵害案件は34件、裁判終了案件は121件であった。虚偽訴訟、悪意訴訟、悪意の権利放棄等の不誠実な行為を法により制裁するとともに、故意の期限超過後の証拠提出、虚偽陳述等の不誠実な訴訟行為を法により制止させ、権利の不正取得等の違法行為の手がかりを積極的に移送した。「3D CAD」ソフトウェア著作権侵害案件では、上訴人が裁判所の発効した証拠保全命令に従わず、重要証拠を隠滅した等の民事訴訟妨害行為を行ったとして、最高額の罰金100万元を科した。上訴人は期限内に罰金を納付し、判決を受け入れた。
高水準の対外開放のサポートの面では、法廷は高水準の対外開放の推進に焦点を当て、涉外案件を法に基づいて公正に審理している。これまで6年間に新規に受理された涉外案件は年平均23.2%増加し、ますます多くの外国企業が中国の裁判所で知的財産権紛争を解決するようになっており、中国は国際的な知的財産権紛争解決の優先地の一つとなりつつある。「熱安定グルコアミラーゼ」特許権侵害案件では、デンマーク某社の2300万元を超える訴訟請求を法により支持する判決を下した。調停を積極的に活用して国際紛争を解決し、2024年に法廷が裁判終了した涉外案件のうち、調停または取下げで終了したのは71件で、調停・取下げ率は19%に達した。中英両言語の法廷案件年次報告と判決要旨の公表を継続しており、法廷の英語版公式サイトのアクセス数は1億2000万回を突破した。年間で裁判終了した民事二審実体的案件の調停・取下げ率は40.4%であった。
(出所 「人民日報」の姉妹版「環球時報」公式サイト「環球網」)