過去一年間に新規に受理した知的財産権案件は1万4000件以上、裁判終了したのは1万4100件以上で、それぞれ同期比で0.24％と9.86％増加し、訴訟開始前や訴訟手続の進行中に解決された紛争件数は同期比13.83%増の1万8000件以上で過去最高を更新したと広州知的財産権裁判所が発表し、2023年の知的財産権の裁判状況は業界から大きな注目を集めた。

強力な法的保護を提供

先端・重点分野の科学技術革新の成果に対する保護を強化した。広州知的財産権裁判所は2023年に各種の知的財産権紛争案件1万1200件の裁判を終了し、うち特許権紛争案件は478件で、それぞれ同期比で74.18%と14.9%増加した。基地局アンテナや集積回路など広東の製造業の支柱産業の先端技術に係る案件を適切に審理した。例えば、京信公司と暉速公司の特許権侵害紛争案件において、裁判所は技術的価値と経済的価値が高く中国専利金賞を受賞した専利権に対する保護を強化し、暉速公司が説明もなく関係帳簿などの証拠の提出を拒否したことに鑑みて、暉速公司が権利侵害を停止し、権利者に4000万元を賠償するよう判決を下し、科学技術イノベーションの成果を強力に保護した。

農業の科学技術イノベーションの成果を法的に保護した。同裁判所は2023年に各種植物新品権紛争案件43件の裁判を終了し、新品種権者の合法的権益を大いに保護した。安祖公司などと科芸公司の植物新品種権紛争案件において、裁判所は、当事者が一方的に依頼した遺伝子検査報告書は鑑定意見とはならないが、鑑定意見の審査規則に従って鑑定書として認められる可能性があることを明確にし、また一方で、登録品種に関する遺伝子検査の国家基準又は業界規準が確定されておらず、かつ相手側が明確に反対している場合、裁判所は一方の当事者からの遺伝子検査申請に同意してはならず、案件の情状に応じて田畑で現地調査を行わなければならないことを明確にした。

懲罰的賠償制度を積極的かつ慎重に適用した。同裁判所は知的財産権の市場価値を重んじ、権利侵害事実の賠償基数と倍数を相応に確定できる規則を適用し、損害賠償額の算出規準を科学的に定め、懲罰的賠償制度の抑止力を効果的に発揮させた。例えばギャランツ公司と新宝公司などの技術秘密侵害紛争案件において、裁判所は被告の権利侵害による収益（基数）を合理的に計算した上で、その権利侵害は明らかに故意的で、かつ情状が深刻であることに鑑みて、最終的に4倍の懲罰的倍数を適用して、新宝公司らに対してギャランツ公司に経済損失6170万元と合理的な支出30万元を賠償するよう命じる判決を下した。

著作権紛争案件の審理を強化

新興文化産業の著作権保護を強化した。新興分野の著作権帰属認定と保護規則を持続的に研究し、ライブ配信やアニメーションゲームなどの新興分野の知的財産権案件を審理し、広東省の特色ある文化産業の発展へのサポートと保障を強化した。例えば、網之易公司と華多公司、虎牙公司などの著作権侵害と不正競争紛争案件において、裁判所はゲームの遊び方と規則の類似性判断基準について深く検討し、基本のプレイルールの先使用者、後使用者、ゲームプレーヤー、そして大衆の間の利益バランスを合理的に維持し、ゲーム『奶塊』と『我的世界』の全体的な画面に実質的類似性がないと判断し、華多公司と虎牙公司は2000万元の賠償金を支払う必要がないと逆転判決を下した。上海電影公司と広州天泓公司の著作権ライセンス契約紛争案件において、ライセンサーは映画の登場人物の著作権に瑕疵がないことを保証するだけでなく、映画の積極的な宣伝効果と正常な露出度を確保し、映画産業の健全な発展を促進しなければならないと認定した。

コンピュータソフトウェアの保護を強化した。同裁判所は2023年に、有能なチームを作ってコンピュータソフトウェア著作権契約と権利侵害紛争案件を集中処理した。新数智能公司と美易捜公司などのコンピュータソフトウェア著作権侵害紛争案件において、裁判所はコンピュータソフトウェア権利侵害の対比における「接触＋実質的類似」原則の適用条件を明確にし、コンピュータソフトウェア保護に有益な参考を提供した。「慧某公」ソースコード技術秘密侵害案件において、裁判所は、コンピュータソフトウェアのソースコードの商業的価値を高く評価し、技術秘密の権利の境界線を合理的に画定し、技術秘密として保護されるべきコンピュータソフトウェアのソースコードは、オープンソースコードやサードパーティのコード以外のカスタムソースコードに限定すべきであることを明確にし、権利保護範囲の不適切な拡大を避け、企業のコア技術進歩の成果を効果的に保護した。

デジタルエコノミーの発展を促進

これまでの一年間、同裁判所はデジタルエコノミーに係る各種の知的財産権案件を審理し、いくつかの指導的な判決を下した。例えば、ウィーチャットを利用する「友個総管」マーケティング支援ソフトウェアの不正競争紛争案件において、裁判所は他人のビジネスチャンスと競争優位性を意図的に盗み取る行為を厳しく規制し、デジタルエコノミーとプラットフォームテクノロジーの保護を強化した。バイトダンス公司と加塩公司などのネットワーク送信権侵害紛争案件において、裁判所はプラットフォーム運営者による権利侵害幇助の責任の判断基準を明確にした。快意公司と敏実公司などのコンピュータソフトウェア著作権侵害紛争において、裁判所はクラウドサービスモデルを用いたライセンス利用の範囲拡大は権利侵害に当たると判断し、デジタル産業が法に従って整然と発展するよう導いた。

（中国知識産権情報網から翻訳）