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最高裁判所 第四回の種子産業における知的財産権司法保護典型的判例を公布

時間:2024-05-09

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行動指針としての典型的判例の機能を十分に発揮させ、種子産業の知的財産権保護を強化し、ハイレベルの司法によって種子産業のイノベーションと質の高い発展を推進するために、中国最高裁判所は3月17日、第四回種子産業における知的財産権司法保護典型的判例を公布した。

今回公布された典型的判例は15件で、種子産業の知的財産権保護に関する民事、行政、刑事の3種類に大別され、内訳は民事の権利侵害及び契約関連判例が13件、行政の品種権付与関連判例が1件、刑事の判例が1件となっている。小麦、米、トウモロコシなどの主要な食用作物から、唐辛子、メロン、大豆などの商品作物まで、幅広い種類の植物に係っている。訴額が百万元を上回った判例が8件、さらには数億元を上回ったものもあり、案件に係る品種の経済的価値が高いため業界から大きな注目を集めている。

今回公布された典型的判例は厳格な保護を堅持する裁判所の司法理念を反映している。「沃玉3号」トウモロコシの両親品種に係る営業秘密侵害案件において、秘密保持契約に違反して交雑種の親品種種苗を販売した者に対して、営業秘密を侵害したとして有罪判決を言い渡し、罰金を科して、種苗に係る犯罪への取締りを強化した。「丹玉405号」トウモロコシに係る植物新品種権侵害案件において、懲罰的賠償の計算基準が厳密に確定できない場合は既存証拠に基づいて確定することができると明確にし、これをもって二審で権利者による300万元の賠償請求が全額支持された。「利合328」トウモロコシ植物新品種権侵害案件において、特定の親品種の組み合わせが交雑種の育成に使われる登録品種であることを知りながら販売する行為は交雑種の品種権侵害を幇助するものと認定し、交雑種の品種権の保護範囲を効果的に拡大した。「登海605」トウモロコシ植物新品種権侵害案件において、会社を権利侵害するための道具として利用した実質的責任者に対して会社とともに連帯賠償責任を負うよう命じ、「万糯2000」トウモロコシ植物新品種権侵害案件においては、複数人の生産と繁殖を組織し統率した主催者に対して、権利侵害実施者によって行われたとされるすべての侵害に対して責任を負うよう命じ、権利者の利益を最大限に保護した。

「オードリー」唐辛子植物新品種権侵害案件において、権利侵害者と品種権者の事前の合意を重要な基準として権利侵害賠償額を算定し、権利侵害賠償の立証難を解決した。裁判で終了した11件の品種権侵害民事案件のうち、賠償請求が全額支持されたのは4件、賠償額が百万元を超えたのは4件あった。

今回公布された判例から、裁判所が積極的に役割を果たし、調停と和解を活用して紛争を解決し、当事者らのウィンウィンを実現したことがわかった。「五山糸苗」水稲の植物新品種に係るライセンス契約と権利侵害案件において、当事者らが種子産業で長期的なパートナーシップを築いた大手企業であることに鑑み、裁判所は和解を促して成立させ、遺恨を完全に解消し、ウィンウィンと発展を実現した。

また、裁判所は民事の法的保護と行政法執行による保護の連携を積極的に促し、保護の全体的な効果を向上させた。「遠科105」トウモロコシ植物新品種権侵害案件において、現地の農業行政部門が行った種子の抜取検査と聴聞調書に基づいて、権利侵害者が「正規品と模倣品の両方とも販売」して監督管理を逃れていたことを確認し、賠償を厳格化した。「菏豆33号」大豆の植物新品種権侵害案件において、経営者の『産地検疫合格証』に記載された生産高に基づいて権利侵害の規模を推定し、権利者が十分な賠償金を得られるように確保した。品種権の付与・確認を監督し、支持して権利付与の質の向上を促した。「農麦168」小麦の植物新品種権付与紛争において、品種の形質が完全に発現することを保障するため、権利付与手続におけるDUS試験地の選定は、品種の育成に適した区域や環境などの明細書の記載を基準とし、品種の種類、育種の過程及び方法を結びつけながら判断しなければならないことを明確にし、関係権利付与のプロセスについて明確な司法のガイドラインを出した。

(最高裁ホームページから翻訳)