中国市場監督管理総局、国家知識産権局が共同で制定した『電子商取引プラットフォームにおける知的財産権保護・管理』国家基準(以下、『基準』という)が2020年11月9日に公布された。同基準は中国の電子商取引分野の発展の実状に結び付き、電子商取引プラットフォームにおける知的財産権保護の経験を最大限に生かし、電子商取引プラットフォームにおける知的財産権保護の強化に資するものである。
『基準』は範囲、規範的文献引用、用語とその定義、電子商取引プラットフォームの管理、電子商取引ネット情報プラットフォームの要件、知的財産権管理の組織、適合性テストの要件など7章からなる。
第1章の「範囲」、第2章の「規範的文献引用」、第3章の「用語とその定義」と第7章の「適合性テストの要件」は基準の適用対象となる電子商取引、規範的文献引用、基準にいう用語の定義及びその要件を規定している。
第4章の「電子商取引プラットフォームの管理」は情報管理、管理制度、知的財産権係争の解決という三つの面から電子商取引の主体らの責任と義務を明確にし、販売者がプラットフォームに登録する際の情報登録と商品の知的財産権関連情報の開示、知的財産権管理制度、権利侵害通知の発送、権利侵害通知の受理、通知の処理とその結論などの規範化に重点を置いている。
第5章の「電子商取引ネット情報プラットフォームの要件」は電子商取引ネット情報プラットフォームの機能について、総合的な要件、機能上の要件、証拠管理上の要件、監督管理・調査の協力、新技術の採用など五つの面から具体的に要求している。電子商取引ネット情報プラットフォームは関係データベースを構築し、関係情報の保存、証拠管理、追跡管理、精査の協力などに活用するよう要求している。
第6章の「知的財産権管理の組織」は総合的な要件、機構と職責、情報と知識リソースなど三つの部分からなり、電子商取引プラットフォーム側が知的財産権管理システムを構築し、知的財産権管理機構を設立し、且つ専任、兼任従業員又は専業機構に管理を依頼し、宣伝、研修、交流、指導などのサービスを提供すると規定している。
『基準』は中国初の電子商取引プラットフォームにおける知的財産権保護と管理について明確に規定する推奨国家基準であり、電子商取引分野における知的財産権保護を確保するための最良の実践で、イノベーションによる発展と市場秩序の維持を両立するものである。『基準』は電子商務法、専利法、商標法、著作権法など関連法律法規に準拠し、実状を踏まえて関係主体の責任と義務を細分化している。また、電子商取引分野の知的財産権保護に関する「中国の案」として、国際電子商取引分野の知的財産権保護制度の発展にも「中国の力」をもたらしている。