IP情報

News and Insights

国家版権局 法執行部門が権利侵害と認定できる場合は鑑定不要

時間:2020-12-30

分享到:

プリント

中国国家版権局は意見公募を経て、11月15日に『著作権の行政法執行における証拠審査・認定業務の更なる改善についての通知』(以下、『通知』という)を発表した。『通知』は、著作権行政法執行部門は申立人が提出した権利帰属証明書類と権利侵害証拠に基づいて被申立人の行為が権利侵害を構成すると認定できる場合は鑑定機構に鑑定を委託しなくてもよいと明確にしている。また、著作権行政法執行部門は、法により著作権詐称、授権書偽造などの方式で他人の作品を不正に利用する権利侵害行為を取り締り、権利帰属不明、不正権利保護などの行為を規範させることができる。 

申立人が提出した権利帰属証明文書の審査について、『通知』は、著作権行政法執行部門は申立人に対してその主張する著作権又は著作権にかかわる権利に関連する証拠の提出を要求しなければならないと規定している。申立人は、著作権又は著作権にかかわる権利の帰属を証明する証拠として、次に掲げる資料のいずれかを提出しなければならない。著作物の原稿や原本、合法的な出版物、著作権登録証書、権利取得の契約書、国家著作権行政管理部門から指定された著作権認証機構又は著作権団体管理組織が発行した著作権認証文書、権利帰属を推定できるその他証明文書。著作権行政法執行部門は、申立人が提出した権利主張する作品、上演又は録音物が『中華人民共和国著作権法』による保護を受けており、且つ保護期間内であることを確認しなければならない。反証がなければ、著作権行政法執行部門は、申立人の主張する著作権又は著作権にかかわる権利が当該作品、上演、録音物に存在すると推定しなければならない。反証がなければ、著作権行政法執行部門は、通常の方法で署名をした作者、出版者、上演者又は録音物の製作者が当該作品、上演、録音物の著作権者又は著作権にかかわる権利者であると推定しなければならない。著作権行政法執行部門は、署名によって権利帰属を推定するにあたって、 被申立人が反証を提出しなかった場合、申立人に対してその権利の帰属を証明するため、又は既に許諾を受けている或いは被申立人の行為が権利侵害を構成していることを証明するために、著作権又は著作権にかかわる権利の使用許諾、譲渡契約書又はその他の書面証拠の提出を要求しなくてもよい。 

申立人が提出した権利侵害証拠の審査について、『通知』は、著作権行政法執行部門は申立人に対して被申立人がその著作権又は著作権にかかわる権利を侵害しているとする証拠の提出を要求しなければならないと規定している。申立人は、その権利を主張する作品、上演、録音物が権利侵害されている証拠として、次に掲げる資料のいずれかを提出することができる。権利侵害作品、上演又は録音物及びその購入記録、権利侵害行為にかかわる帳簿、契約書及び加工・製作帳票、権利侵害行為を証明する写真、動画又はウェブページのスクリーンショット、出版者、複製品の発行者が許諾文書を偽造、改竄し又は許諾範囲を超えたことを証明する証拠、権利侵害行為を証明できるその他資料。 

また、『通知』は権利侵害の認定について規定している。申立人が権利帰属証明文書及び権利侵害証拠などの関連資料を提出した後、被申立人は著作権者又は著作権にかかわる権利者の許諾を得たと主張する場合、許諾を受けた証拠を提出しなければならない。著作権行政法執行部門は、これを調査、確認しなければならない。被申立人が上記証拠を提出できず、且つ既存証拠が権利侵害認定に十分有力であった場合、又は被申立人が提出した証拠では許諾を得たことを証明できない場合、著作権行政法執行部門は被申立人の行為は権利侵害に当たると認定しなければならない。複製品の出版者、製作者がその出版、製作行為が合法的に授権されたものであることを証明できない場合、又は複製品の発行者がその発行した複製品が合法的な出所に由来するものであることを証明できない場合、著作権行政法執行部門はそれらが権利侵害に当たると認定しなければならない。