先頃、最高裁の知的財産権法廷は当事者の請求を受理した後26時間以内に行為保全の裁定を出し、天猫公司に対して、請求人の「天猫オンラインショッピングサイト」上の権利侵害被疑商品のリンクを復旧するよう命じた。これは最高裁が初めて下したECサイト商品のリンク復旧の行為保全裁定である。
上訴人・永康市聯悦工貿有限公司等と被上訴人・慈渓市博生プラスチック製品有限公司、原審被告・浙江天猫ネット有限公司等との実用新案権侵害係争において、某実用新案権所有者・博生公司は、聯悦公司が「天猫オンラインショッピングサイト」で販売したモップがその専利権を侵害したとして、一審裁判所に訴訟を提起した。
一審裁判所は権利侵害になると判断し、聯悦公司等に権利侵害を停止したうえで博生公司に経済的損失326万元を賠償するよう命じ、天猫公司に権利侵害被疑商品のリンクを削除、遮断するよう命じた。その後天猫公司は権利侵害被疑商品の「天猫オンラインショッピングサイト」上の商品リンクを削除した。
聯悦公司等は最高裁判所に上訴した。
二審では、国家知識産権局が係争専利権を全部無効と宣言したのに対し、博生公司は行政訴訟提起の意思を示した。
聯悦公司は11月5日、最高裁判所に行為保全を請求し、天猫公司は直ちに請求人の「天猫オンラインショッピングサイト」上の商品リンクを復旧させ、「ダブルイレブン」が目前に迫る緊急事態に鑑み、48時間以内に裁定を下すよう請求した。
最高裁判所の知的財産権法廷は請求を受理したその日の晩のうちに当事者らと連絡をとり、電子資料を送付し、翌日の朝早く当事者らを集めて審問を行った。合議体は、権利侵害被疑者の知的財産権行為保全を請求する資格の有無、電子商取引プラットフォームオーナーが取った知的財産権侵害阻止措置の合理性、行為保全措置の必要性、担保金額の算定などについて審査した。
その結果、行為保全請求を受理した後26時間以内に最高裁判所の知的財産権法廷はオンラインで遠隔裁定を下した。具体的には以下のとおりである。一、天猫公司は聯悦公司の「天猫ショッピングサイト」上の権利侵害被疑商品のリンクを復旧させる。二、本裁定の発効日まで聯悦公司名義のアリペイ口座の残高632万元を凍結する。三、権利侵害被疑商品のリンク復旧の日から本裁定の発効日までの期間中に聯悦公司の商品リンク復旧後の権利侵害被疑商品の売上総額の50%が632万元を上回った場合、上回った分の売上額の50%をアリペイ口座に預け、引き出してはならない。裁定は直ちに執行される。
今回の行為保全に関する裁定は、専利権者、プラットフォーム内経営者と電子商取引プラットフォームの利益が総合的に考慮され、バランスを取って下されたものである。本件にかかわる専利権の効力が不確定な状況にある中、この保全裁定は、侵害を疑られる電子商取引プラットフォーム内経営者に「ダブルイレブン」のような特別な販売時期に通常の販売を再開させ、利益上回復不可能な損失を免れることができた。それと同時に、商品リンクの復旧が権利者に損失をもたらす可能性に鑑み、請求人名義の口座の相応の金額、リンク復旧後に販売継続した場合の利益を凍結した。この他、裁定は電子商取引プラットフォームオーナーの商品リンク復旧後の責任追及に対する不安を取り除いた。