先頃、北京知的財産権裁判所は「専利の権利付与・確認案件オンライン審理の概況」について記者会見を行い、電子送達、技術調査官のオンライン審理ポートの追加など様々な新たな措置の実施により、北京知的財産権裁判所は技術専利行政案件のプロセス全般をオンラインで処理できるようになったと述べ、今年1~8月、専利行政案件1325件の審理を終了し、これは昨年同時期の2倍弱の件数であると紹介した。
北京知的財産権裁判所の宋魚水副所長の紹介によると、専利行政案件にかかわる技術は革新的で、分野も広く、技術的事実の究明が難しい。コロナウイルス感染症の対応期間中、技術調査官のオンライン法廷での不在、オンライン法廷で技術的問題を究明できるか否か、第三者への送達の難しさなどが、専利案件のオンライン裁判の普及のために克服しなければならない障害であった。
これまで第三者への送達の難しさは技術案件の審理のブレーキであった。第三者がいずれも訴えられた行政行為の対応者であり、行政プロセスの参与者でもあることに鑑み、北京知的財産権裁判所は窮状を打開するために、国家知識産権局とのコミュニケーションに積極的に取り組み、第三者の行政プロセスでの登録済みの代理人情報、連絡先と送付先を問い合わせることにした。同氏によると、行政機関に「道を尋ねる」ことによって、第三者への送達率が効果的に上がり、専利無効行政案件の審理の効率も向上した。
いずれの専利行政案件も被告が国家知識産権局であることを踏まえ、北京知的財産権裁判所は「召喚状リスト」を導入し、情報共有オンラインファイルを介して国家知識産権局に翌週のすべての案件の開廷情報を伝えることにした。行政機関への召喚状送付という「ラストワンマイル」の課題を解決したことで、召喚状送付の時間や司法の郵送料が節約され、オンライン審理の効率も大幅に向上した。
また、北京知的財産権裁判所は「北京クラウド法廷」システムに「技術調査官」のポートを増設し、コロナウイルス感染対応期間中に技術調査官にもオンライン審理に参加させ、裁判官の技術事実の究明に協力できるようにした。「北京クラウド法廷」とインターネット法廷のシステムは引き続き改良され、ファイルのデモンストレーションやデスクトップシェアリングなどの新機能が追加された。これにより当事者はパワーポイント、図面や動画をアップロードして紹介し、デスクトップシェアリング機能で合議体に技術を説明し、主張を陳述することができるようになり、法廷現場よりも明確で便利な審理効果を上げた。
「これまでの大型製品の模型や広げると特大面積になる図面などのような法廷での展示が難しい大型のものが、オンライン審理において動画や図面で詳細に対比することができるようになった」と北京知的財産権裁判所の逯遥裁判官は述べ、9月25日までに、北京知的財産権裁判所は1375件の専利行政案件をオンラインで審理しており、この種の案件の審理数は3月には週平均15件であったが、最近は100件以上の週もあり、案件審理の効率が大幅に向上したと紹介した。
「北京裁判所集約送達統合プラットフォーム」の導入で、北京知的財産権裁判所は訴訟への対応、証拠の交換、裁判文書の送達の段階において、電子化した訴訟書類を迅速に送ることができるようになった。原告又は第三者が電子送達を拒否する場合、被告の国家知識産権局の提出した証拠が通常行政の対応者により行政プロセスにおいて自ら提出又は交換されたものであることに鑑み、北京知的財産権裁判所は、今後裁判所は法定期限内に原告と第三者と被告の答弁書と証拠リストを交換さえすれば、その他の紙の証拠材料の交換は不要となると特に規定した。