中国医薬物資協会が6月28日に重慶市で第六期第一回常務理事会議を開催し、『2019年度中国医薬品知的財産権業界発展状況報告書』(以下、報告書という)を公表した。報告書は同協会常務理事以上の会員単位の知的財産権データ(商標)をまとめて分析したものであり、業界の注目を集めた。
報告書によると、2019年中国の医薬品工業は全体的に良好な傾向にあり、幾つかの主要指標は様々な程度で向上した。「一帯一路」戦略の全面的な推進、健康中国2030戦略の全面的な実施、国際市場の需要の回復、国内健康消費のアップグレード・加速などに伴い、医薬品工業において、企業のイノベーションが一層活発となり、業界再編がさらに進むなどの傾向がある。中国の医薬品業界は従来の大量原薬輸出や欧米のOEM生産から、徐々にジェネリック医薬品、新薬の国際登録へモデルチェンジして国際競争に参加しており、製品の輸出付加価値が年々向上している。
注目すべきは、報告書が74の会員単位を対象に、商標ブランド、専利技術、著作権保護、法律紛争などの面からその知的財産権活動を評定して総合的に採点し、特にその商標配置状況を詳細に整理している点である。データによると、2019年に74の会員単位は合計1万899件の商標登録出願を提出し、このうち無効状態の商標が1562件で、全体の14.34%を占めている。また、第35区分に商標の登録出願がなかった会員単位が19社もあり、全体の26.03%を占めている。報告書によると、全体的に国内企業は知的財産権活動の点数が低く、商標ブランドの配置、保護、リスク予防・抑制、または第35区分商標に対する重視度でも改善の余地が大きい。その例として、1562件の無効商標に潜んだ商標ブランド配置の欠陥とブランド振興のリスクが挙げられる。これからどのように権利を取得し、どのようにリスクを予防・抑制するかによって、74の会員単位の発展方向が変わるだろう。また第35区分は、商標の先駆け登録による被害の大きい分野でありながら、企業が将来チェーンストアを作り、Eコマースを展開させる中心的な商標登録区分でもある。医薬品企業による第35区分での商標登録出願の布石は、企業の成長と振興に重大な意義を持つ。しかしながら、当面のデータからは、関係者がまだこれを十分に認識していないことが伺える。
報告書は、中国の医薬品工業の競争力を向上させるため、業界が人材育成、技術革新、知的財産権開発などの面で工夫するほか、様々な面から政策・資金の支援を強化し、多様なルートで医薬品や医療設備のイノベーションとその実用化を奨励し、多くの措置を以て医薬品供給保障メカニズムを改善し、複数の対策をとって産業の集中度と国際化レベルを向上させるべきだと提案している。中国医薬物資協会の責任者の言葉のとおり、戦略的新興産業の代表としての包括的な保健産業にとって、知的財産権は成長の重要資源と競争力の中核要素であり、大学の科学技術革新、人材育成に重要で基本的な役割を果たすものである。また、医療・包括的な保健の専利技術の業界を跨った融和、ビッグデータと医療・包括的な保健の統合の成功、そして産業チェーンの国際化が医療・包括的な保健事業の発展にチャンスをもたらしている。