最高裁判所は3月22日、北京で『専利権侵害紛争案件の審理における法律適用の若干問題について最高裁判所の解釈(Ⅱ)』(以下、「専利司法解釈Ⅱ」という)を公布した。これは、最高裁判所が2009年の専利に関する司法解釈に続いて発表した専利権侵害判定基準に関する司法解釈である。計31条から成る「専利司法解釈Ⅱ」は今年4月1日より施行されており、主にクレームの解釈、間接侵害、標準実施による抗弁、合法的出所による抗弁、権利侵害行為の差し止め、賠償額の算出、専利権無効の審決が権利侵害訴訟に与える影響など、専利案件裁判実務における難題に係わる内容となっている。
最高裁判所知財廷の宋暁明廷長によると、「専利司法解釈Ⅱ」は問題解決を重要視し、専利権の司法保護を強化し、専利訴訟における「周期が長い、挙証が難しい、賠償額が低い」などの問題を現行法律の枠組みの下でなるべく解決し、意見募集中の専利法改正案とリンクさせている。「専利司法解釈Ⅱ」第二十一条は専利権の間接侵害制度について規定し、専利権者に対する保護を一層強化した。「挙証が難しい、賠償額が低い」問題について、「専利司法解釈Ⅱ」第二十七条は専利権侵害訴訟における賠償額の挙証規則を修正した。案件の審理周期が長いという問題について、「専利司法解釈Ⅱ」第二条は「まず却下し、別途提訴する」という制度を設けた。即ち、専利複審委員会が専利権無効の審決をした後、専利権侵害紛争案件を審理する裁判所は行政訴訟(訳注:審決取消訴訟)の最終結果を待たずに提訴を「却下する」裁定を下すことができる。ただしこの場合、権利者は「別途提訴」して司法救済を求めることができる。
説明によると、「専利司法解釈Ⅱ」は折衷主義を守り、開示と線引きというクレームの役割を強化し、専利権保護範囲の確定性を高め、公衆に明確な法的予期を与え、専利書類作成のレベル向上を促している。また、同司法解釈は利益のバランス原則を守り、専利権とその他民事上の権利との法的境界を明確化し、権利者の正当な権益を保護して発明創造を促進するとともに、専利権が不適切に拡大されることにより新たなイノベーションの発明空間を圧迫し、公共利益や他人の合法利益を毀損することを抑えている。