専利審判手続きに対する公衆の認識を強化し、知的財産権保護の社会意識を高めるため、専利審判委員会は2010年から毎年「4.26知財宣伝ウィーク」において、前年度専利審判十大事件を発表することになった。当該事件はいずれも、ニュース注目度が高かったり、業界に重大な影響を与えたり、重大な疑問・難問にかかるか、重要な審査基準にかかわったりして、後の審査実務に指導的な意義を持つものである。
2015年「知財宣伝ウィーク」に国家知識産権局専利複審委員会で発表した2014年十大審判事件には、CCPITが代理した次のような2件が入選した。
1、「自動車(SUV)意匠専利権」無効審判事件
本件専利権者は江蘇金湖欧陸自動車有限公司である。CCPITはフォルクスワーゲン社の依頼を受けて証拠を収集して無効審判請求を申立てた。
前記専利は明らかな回避的なデザインの特徴を有し、即ち車ボディ全体の形状がフォルクスワーゲン社の関係先行意匠(即ち"対比意匠")とほとんど完全に同様なデザインを取り、局所細部にある程度の変更を行ったものである。本件専利は申立人がWIPOに登録した関係意匠に対して専利法第23条第2項の規定に合致しないとして、2014年に申立人は無効審判請求を提出した。専利複審委員会は審理した結果、第24267号無効審決を作成し、本件専利権を全部無効にした。CCPITの担当弁理士が本件において、意匠専利で保護する対象は一定の創新性を持つ発明創造であり、設計特徴によって全体的な視覚効果に与える影響の重みが違うと強調し、従来からおおざっぱで概括的な「全体的に観察、総合的に判断」と言う意匠の判断原則を、一層細分化した上、より良い操作性を与えた。意匠無効審判の審理には、先行意匠の情況に基き、物品における創新的な特徴と非創新的な特徴を客観的に区別し、「全体的に観察、総合的に判断」原則に従い、大きな重みを持つ創新的な特徴を考えるとともにその他設計特徴を無視せず、物品の全ての設計特徴に基き、総合的に分析した上、科学的な結論に至る。
本件は「明らかな区別」という客観的な審査基準を深く解説し、類似事件に対して指導的な意義を持つ。
2、「静電容量式タッチ・コントロール・パネルにおけるタッチ・コントロール・パターンの構造」実用新案無効審判行政訴訟事件
本件の専利権者も申立人も世界中に主要な透過式電気容量式タッチパネルのメーカーである。本件はモバイル・インターネット端末の産業チェーンにおける上流メーカーに対して大きな影響を与えるランドマーク的な事件になると見られている。
本件において、専利権者はまず専利侵害訴訟を提起して、両被告にそれぞれ6060万元と2690万元の賠償金を求めた。そしてCCPITは委任者の依頼を受けて、専利複審委員会に無効審判請求を申立てた。専利複審委員会は審理した上第21304号無効審決を作成して、本件専利権を全部無効にした。
専利複審委員会は本件の審理において、クレームの保護範囲に合理的な限定を与えた。先行技術によく見られるが、特定の名称を有しない部品について、その名称の変更はその機能、作用への当業者の認識に影響しないと判断された。 本件は類似事件の審理に一定の指導的意義を持つ。