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広州知的財産権裁判所 科学技術革新への貢献と保障に関する十大典型判例を発表

時間:2024-03-04

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先頃、広州知的財産権裁判所が同裁判所における2023年の技術系案件の裁判状況と科学技術革新への貢献と保障に関する十大典型判例を発表し、業界から幅広い注目を集めた。

同裁判所の2023年の新規受理案件及び結審案件のうち技術系案件の全体状況から、同種の案件には全体的に3つの特徴が見られる。

最先端分野や複雑な技術に係る案件が増え続けている。2023年、広州知的財産権裁判所が審理した次世代情報技術、ハイエンド設備の製造、バイオ医薬などの戦略的新興産業に関する案件の総数が着実に増加し、データ要素、データ取引などのデジタルエコノミー産業に関係する紛争が次々と生じ、渉外の独占禁止法違反の民事案件数が著しく増えている(新規受理数が前年比200%増)。特許と最先端分野の案件の割合が増加するにつれて、権利侵害の認定が難しくなり、権利侵害判断のための対比、先行技術の抗弁、先使用権の抗弁などに関する技術事実の認定が複雑化し、技術の急速な発展により、知的財産権のより高い司法能力が求められている。

植物新品種権をめぐる案件の受理件数が急増している。2023年、同裁判所の植物新品種権紛争に係る案件の新規受理件数及び結審件数は、設立以来の最高値を記録し、これまでの同種案件の総数を上回った。種苗産業の分類別では、「新年の花」で有名な広東省の特色のあるアンスリウム、ツバキ、胡蝶蘭などの観賞用作物や、国家の食糧安全保障に関わるコメ、トウモロコシ、サツマイモなどの重要な食糧用作物など、品種が豊富であり、品種権利者の権利意識と司法保護に対する信頼が大幅に向上したことを反映している。

標準必須特許に関連する案件に新たな変化が見られる。権利者の請求面では、権利侵害の認定もあれば、ライセンス料率の算定もある。分野の面では、ワイヤレス通信分野が依然として大半を占めるが、デジタルオーディオ・ビデオ分野や自動車修理技術分野も登場し始めている。原告のタイプを見ると、技術力の向上と技術成果の増加に伴い、外国企業を対象として訴訟を提起する国内企業の割合が大幅に増加し、国内企業が科学技術力の勝負において積極的な姿勢を見せ始めている。

広州知的財産権裁判所はこの1年間に電気通信などの核心分野、バイオ医薬分野、種苗分野における知的財産権保護を強化し、イノベーションの保護に力を入れていることを強調した。

重点分野における主要コア技術の保護を強化し、技術革新と産業のアップグレードを促進し、高水準の科学技術革新をさらに奨励している。同裁判所は「フラットパネル・ディスプレイ用部材に係る液晶回路基板特許権侵害紛争」において、合議体が技術的事実を正確に把握し、法律を正確に適用し、重要な分野に関わり、科学技術革新のレベルが高く、良好な経済利益をもたらす技術成果を厳格に保護し、社会の革新と創造に対する信頼と熱意を効果的に刺激した。

医薬品技術市場の規範的な秩序ある運営を指導し、バイオ医薬分野の技術革新と応用を促進している。同裁判所が審理した懲罰的損害賠償額のセグメント計算に係る医薬特許権侵害紛争では、民法施行日前から行われていた侵害行為について、合議体は「セグメント計算」の方法を採用して懲罰的損害賠償制度を適用し、科学的かつ正確な懲罰的損害賠償制度の適用を積極的に模索し、侵害行為の抑制とイノベーションの奨励という懲罰的損害賠償制度の効果を十分に発揮させた。

裁判規則の指導力を強化し、効率性と公平性のバランスをとっている。広東省初の植物新品種「アンスリウム」に係る紛争において、合議体は当事者が一方的に委託した試験報告書の性質と審査基準、DNA遺伝子指紋検査とDUS実地観察検査の適用範囲と有効性を明確にすることにより、品種権利者の立証責任をさらに詳細化し、確定した。植物新品種権関連案件の適切な審理と植物新品種権紛争の証拠審査規則の制定を通して、種苗業者が効果的に権利を保護するよう指導し、育種における独創的で持続的な技術革新を奨励した。

2023年、広州知的財産権裁判所は、デジタル経済のガバナンス・エコシステムの最適化を継続し、データ権益の保護を強化するとともに、技術秘密の保護を効果的に強化し、市場における公正な競争を効果的に維持することを目標とした。

データの権利保護と技術革新のルールを探り、データ収集・利用の自由と秩序のバランスをとり、デジタル経済の発展の活力を刺激している。「抖某家」データ権益保護紛争において、合議体はソフトウェアの機能及び技術的手段の本質、目的及び結果を全面的に審査し、サクラレビューを利用する「アカウント育成」機能を否定した上で、抽出されたデータの内容、抽出の方法及び手段、自由競争への影響などの観点から、データ収集行為の適法性について詳細な分析を行い、ソフトウェアの「収集」機能及び「遮断」機能の責任追及性を総合的に評価した。データの権益を効果的に保護することで、データの秩序ある流れの重要な価値を十分に示し、データの抽出とその後の利用が規制されたと同時に、競争の自由に対する過度の制限を回避した。

企業の自主革新の成果と核心競争力を保護し、法に基づいて市場競争の秩序を規範化した。「慧某公」ソースコード技術秘密侵害紛争において、合議体はコンピュータソフトウェアのソースコードの商業価値を完全に肯定し、コンピュータソフトウェアのソースコードの技術秘密としての保護条件と保護方法を明確にし、技術秘密の権利の境界を合理的に画定し、権利範囲の不当な拡大を避け、企業の核心的な技術成果を効果的に保護した。

(中国知的財産権情報網から翻訳)