先頃、中国最高裁判所が知的財産権に係る指導的判例8件を発表した。これらの指導的判例は専利、著作権、集積回路配置図設計、不正競争防止、独占禁止などの知的財産権と競争に関する様々な分野を網羅している。
「慈溪市博某プラスチック製品有限公司が永康市聯某工貿有限公司、浙江天某インターネット有限公司などを訴えた実用新案権侵害紛争案件」は、電子商取引プラットフォームに係る知的財産権侵害紛争において、被告が逆行為保全と担保の提供を請求する場合の司法審査規則を明確にした。(なお、逆行為保全(中国語:反向行为保全)とは、緊急な状況のため、電子商取引プラットフォームにおける経営者が直ちに商品のリンクを復旧せず、通知者が即座に通知を取り下げないまたは通知の送信を停止しない行為が、その合法的な権益に不可逆的な損害を与えるおそれがある場合、プラットフォーム内の経営者は人民法院に保全措置の申請を行うことができることをいう。)
「蘇州賽某電子科技有限公司が深セン裕某科技有限公司などを訴えた集積回路配置図設計専有権紛争案件」は、集積回路配置図設計登録の性質と配置図設計の独創性の有無の認定規則を明確にした。
「広州天某ハイテク材料股份有限公司、九江天某ハイテク材料有限公司が安徽紐某精密化学工業有限公司などを訴えた技術秘密侵害紛争案件」は、知的財産権侵害行為が深刻な情状に該当し、かつ懲罰的賠償制度を適用できるか否かについての認定規則を明確にした。
「嘉興市中某化学工業有限責任公司、上海欣某新技術有限公司が王某集団有限公司、寧波王某科技股份有限公司などを訴えた技術秘密侵害紛争案件」は、全ての技術秘密の利用の認定規則と故意の権利侵害行為に対する損害賠償額の算出規則を明確にした。
「張某勛が宜賓恒某投資集団有限公司、四川省宜賓市呉某建築材料工業有限責任公司などを訴えた独占紛争案件」は、水平独占協議に参加している経営者が協議参加及び実施期間中に被った損失は法的保護の対象にならないという規則を明確にした。
「広州徳某水産設備科技有限公司が広州宇某水産科技有限公司、南某水産研究所を訴えた財産的損害賠償紛争案件」は、専利登録簿に記載された専利権者は専利権帰属紛争期間も誠実信用原則(信義誠実の原則)を遵守し、専利権の効力を善意的維持する義務を負うことの適用規則を明確にした。
「張某龍が北京某蝶文化伝播有限公司、程某、馬某を訴えた作品のネット配信権侵害紛争案件」は、ネット配信権侵害に係る民事紛争案件の管轄権の認定規則を明確にした。
「某美(天津)図像技術有限公司が河南某廬養蜂業有限公司を訴えた作品のネット配信権侵害紛争案件」は、著作権の帰属が不確定な状況においては、ウォーターマーク(透かし模様)や権利の声明のみに基づいて作品の著作権の帰属を決定してはならないという挙証・証明規則を明確にした。
(法治網から翻訳)