江蘇高等裁判所が『知的財産権民事案件における少額訴訟手続の適用に関するガイドライン』を制定し、12月2日に公布した。
権利帰属が明確で事実関係が明らかな撮影・美術・音楽・文字などの作品の著作権侵害案件、権利帰属が明確で事実関係が明らかな商標権侵害案件、事実関係が明らかで責任の所在が明確な不正競争案件、事実関係が明らかで権利と義務の関係が明確に定められた知的財産権契約案件(技術契約案件を除く)、その他、事実関係が明らかで権利と義務の関係が明確で、紛争が大きくなく、且つ訴額が江蘇省の前年度の労働者平均年間賃金の50%以下の簡単な知的財産権民事案件については、少額訴訟手続を適用し、一審制を実施する。江蘇省の前年度の労働者平均年間賃金の50%を超えるが2倍以下の場合、当事者双方の合意の上で少額訴訟手続を適用することができる。
その他、『中華人民共和国民事訴訟法』(以下、民事訴訟法という)第166条に定められた少額訴訟手続を適用しない情状以外に、技術系知的財産権民事案件、知的財産権帰属紛争案件、当事者が主張する正当な使用・先使用・権利の消尽・合法的な出所などの抗弁事由が成立し得る案件、新しいタイプや法律適用の論争が多いなどの難解で複雑な案件、国家の利益や公共の利益に係る案件、集団的紛争や社会的影響の大きい案件、紛争が激化する虞のある案件、その他少額訴訟手続の適用が不適切な案件は少額手続の適用対象とならない。
少額訴訟手続が適用できる場合、裁判所は案件の受理通知書と応訴通知書とともに、少額訴訟手続告知書を当事者に送付し、裁判の組織、一審制の実施、審理期限、審理の方式、訴訟費用の納付基準、再審の権利、手続に対する異議などの関連事項を通知する。
少額訴訟手続の適用に異議がある場合、当事者は裁判開始前に申し立てを行わなければならない。審査の上で異議が認められた場合、略式手続の他の規定を適用して審理するか、又は通常の手続きに変更するか決定される。異議が認められなかった場合、却下される。口頭で決定がなされた場合は、謄本に記録されなければならない。
訴訟前の調停で、当事者が調停に消極的であることを明確に表明している、又は30日を過ぎても調停が成功せず、且つ調停期限の延長に同意しない場合、審査の上で提訴の条件に合致し、且つ本ガイドライン第2条に該当する情状の案件は、裁判所が少額訴訟手続を適用して受理し、当事者に適時に通知する。
訴状が受理される前に、当事者が知的財産に関する個人的権利を有していないこと、または侵害とされる行為が停止していることを知りながら、金銭の支払い以外の訴訟請求を提起することで少額訴訟手続の適用を故意に回避した場合、説明の後に少額訴訟手続を適用することができる。
少額訴訟手続が適用される案件は、裁判所の手数料は半額に減額される。
(中国保護知識産権網から翻訳)