先頃、中国国家知識産権局が3件の薬品専利紛争早期解決メカニズムを利用した行政裁決案件の審理を終了した。この3件は改正・中国専利法(2021年6月施行)の施行以降に審理されたこのタイプの最初の行政案件である。
紹介によると、この3件は第201210135209.X号、第201510599477.0号及び第201010151552.4号の発明専利権にかかわる。薬品はパーデュー製薬の「オキシコドン塩酸塩徐放錠」で、同社は宜昌人福薬業有限責任公司のジェネリック医薬品の関連技術案が上記の専利権の保護範囲に入ると主張し、確認を請求した。国家知識産権局は合議体を組み、法により同案件を受理し、審理した上で、ジェネリック医薬品の関連技術案は上記専利権の保護範囲に入らないと判断した。また、第201010151552.4号発明専利権の行政裁決案件の審理で、合議体は宜昌人福薬業有限責任公司が提出した専利登録に誤りがあるという抗弁事由について審理したが、最終的にその抗弁事由は成立しないとされた。
上記案件は初めて行政ルートで早期解決された薬品専利紛争の裁決案件であり、国家知識産権局はこれを非常に重要視し、直ちに5人からなる合議体を組んだ。合議体構成員は全員が薬品又は化学などの分野の専利審査キャリアをもつ者たちである。審理では、合議体は厳格に事実を根拠とし、法律に準拠して、薬品監督管理部門から関連証拠を取り寄せ、当事者双方を集めて複数回の証拠交換と審理前の協議を行い、口頭審理と合議体の合議を経て、公正的に適時に案件の審理を終了した。これらの案件審理期間は僅か六ヶ月で、医薬品の市販審査・承認段階で発生した専利紛争を効率良く処理し、同タイプの案件の審理の実務経験を積むことにもなった。
改正・専利法は2021年6月に正式に施行され、その第76条には、医薬品の市販許可申請人と関係専利権者又は利害関係者が登録を申請する医薬品に関する専利権について紛争する場合、国務院の専利行政部門に行政裁決を求めることができると規定されている。2021年10月に国家知識産権局は初めて医薬品専利係争の早期解決メカニズムを利用する行政裁決案件数件を受理した。これまで、行政裁決請求件数は59件で、受理要件を満たした39件を受理している。
今後、国家知識産権局は法や規定に基づいて医薬品専利紛争の早期解決メカニズムを利用した行政裁決案件の審理を進めていくことになる。また同時に、医薬品監督管理部門や裁判所との協力・連携を更に強化し、メカニズムの構築、基準の統一化、コミュニケーションなどを積極的に展開し、同制度のスムーズな運用を確保し、医薬品専利権者の合法的な権益を保護し、新薬の研究を奨励し、ジェネリック医薬品の市販後の専利権侵害リスクを低減させていくだろう。(国家知識産権局から翻訳)