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2021年度中国専利不服審判・無効審判十大案件が発表

時間:2022-05-31

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4月26日、中国国家知識産権局の開放日イベントで2021年度の中国専利不服審判・無効審判十大案件が発表された。

専利の不服審判と無効審判は専利権の範囲、ひいては権利の有無を再認定する手続きであり、専利権の保護の基礎を決定するため、常に大きな社会的関心を集めている。専利の不服審判・無効審判の審理状況をよりよく示すため、国家知識産権局は毎年、典型的意義を有する案件を選出し、その年度の十大案件として発表している。

2021年度の専利不服審判・無効審判十大案件の以下のとおりである。

1.名称を「新規スルホンアミド化合物及びそのエンドセリン受容体拮抗剤としての応用」とする発明専利の無効審判で、審理の結果、改正後の文書に基づき専利権の有効性を維持すると判断した。本件は薬品化合物にかかわる審理の典型的案件であり、優先権の認定、表形式化合物の情報開示の十分性の判断及び化合物の進歩性の判断のモデルにもなる。

2.名称を「置換された多環式カルバモイル基ビリドン誘導体のプロドラッグ」とする発明専利の無効審判で、審理の結果、有効性を維持すると判断した。本件は明細書に記載された技術効果及びマーカッシュクレームが明細書から支持されるかどうかの的確な判断について参考となる意義を持つ。

3.名称を「画像取得を介してネットワークに接続するデータ転送方法及びそのシステム」とする発明専利の無効審判で、審理の結果、無効審決が下された。本件は、当事者が請求を取り下げたにもかかわらず、審理を終了しなくてもよいという法律の規定について解釈し、専利権者と公衆の利益のバランスを合理的にとっている。

4.名称を「左心耳閉鎖デバイス」とする発明専利の無効審判で、審理の結果、無効審決が下された。本件は「新規性の猶予期間」の適用について解釈し、また、審決は、専利権者は他人が許可を得ずにその技術内容を漏らしたことを知った時、必要とされる声明義務を適時に履行しなければならないと強調している。

5.名称を「軸流風輪」とする発明専利の無効審判で、審理の結果、無効審決が下された。本件は、一方の依頼で作成された鑑定報告書の証拠としての効力の認定にかかわるものであり、同時に、パラメーターで定義された製品クレームと開示証拠との技術対比について審理の視点を提供している。

6.名称を「画像センサーCS3825C」とする集積回路配置図設計専有権の取消審判で、審理の結果、有効性を維持した。本件は専有権の保護対象、独創性に関する審理の範囲及び登記申請期限の判断基準について解釈している。

7.名称を「メーターのケース」とする意匠の無効審判で、審理の結果、無効審決が下された。本件は判断の主体である「一般消費者」が備え得る知識と認知力のレベルを明確にし、デザインの特徴ごとにその全体的な視覚効果への影響の程度を分析している。

8.名称を「防爆用装置」とする実用新案の無効審判で、審理の結果、改正後の文書に基づき専利権の有効性を維持した。本件は新エネルギー分野の構造的製品の進歩性判断に関する典型的案件であり、審決は、技術的示唆の有無の判断にあたって、区別特徴間の関係に注意を払うべきであると強調している。

9.名称を「潜在的な結核菌を治療するためのキノリン誘導物」とする発明専利の無効審決であり、審理の結果、改正後の文書に基づき専利権の有効性を維持した。本件は医薬用発明の進歩性判断にあたって、「Reasonable expectation of success(成功の合理的予測)」の有無を的確に評価すべきと明確にしている。

10.名称を「給排水用のユニオン継手」とする実用新案の無効審判で、審理の結果、有効性を維持した。本件は優先権の確認にあたって、本国優先権書類の挙証責任の分担とその取得方法を明確にしている。

(国家知識産権局から翻訳)