中国第十四期全人大常務委員会第十六回会議で不正競争防止法改正草案が可決された。新たに改正される不正競争防止法は条数が従来の33条から41条に増え、総則、不正競争行為、被疑不正競争行為についての調査、法的責任及び附則で構成され、2025年10月15日から施行される。
混同惹起による不正競争行為に関する規定の整備が、改正後の不正競争防止法の主な内容である。具体的に4つのポイントに分けられる。第一に、他人の一定の影響力を有する「新しいメディアのアカウント名、アプリケーション名またはアイコン」を無断で使用することを混同惹起行為であると明確に規定している。第二に、商標法との整合性を図り、他人の登録商標または未登録の著名商標を無断で企業名称の商号として使用し、他人の商品と混同誤認させたり特定関係があると誤解させたりする行為は混同惹起行為であると明確化に規定している。第三に、検索キーワードの使用を規範化し、他人の商品名、企業名(略称・商号等を含む)、登録商標、未登録の著名商標などを検索キーワードに設定し、他人の商品と混同誤認させたり特定関係があると誤解させたりする行為は混同惹起行為であると明確に規定している。第四に、経営者は他人の混同惹起行為を幇助してはならないと規定している。
改正後の不正競争防止法は商業賄賂、虚偽宣伝、景品付き不正販売、商業上の誹謗中傷などの不正競争行為に関する規定を細分化している。商業賄賂については、関係組織や個人は賄賂を受け取ってはならないという規定を追加している。虚偽宣伝については、誤認させられる対象を消費者から「消費者及びその他の経営者」に拡大し、虚偽の取引や評価への規制を強化し、「虚偽の評価」によって他人の虚偽宣伝を幇助する行為の実施を禁止している。景品付き不正販売については、景品付き販売活動の開始後、経営者は随意に景品付き販売情報を変更してはならないと規定している。商業上の誹謗中傷については、経営者は「他人を教唆して」商業上の誹謗中傷を行ってはならず、対象を「競争相手」から「その他の経営者」に拡大している。
インターネット上の不正競争行為に関する規定の整備は、改正後の不正競争防止法の注目点の一つである。改正後の不正競争防止法は、経営者がデータ・アルゴリズム、技術、プラットフォーム規則などを利用して不正競争行為を実施してはならないと明確にしている。また、データ権益侵害に関する規定を追加し、詐欺・脅迫・技術管理措置の回避・破壊などの不正手段で他人が合法的に保有するデータを取得・使用し、その他の経営者の正当な権益を侵害したり市場競争秩序を乱したりする行為を禁止している。さらに、経営者はプラットフォーム規則を悪用し、直接または他人を教唆して他の経営者に対して虚偽の取引や評価、悪意の返品などを実施してはならないと規定している。
改正後の不正競争防止法はさらに、プラットフォーム経営者に対し、プラットフォーム上の事業者の不正競争行為に対処する義務を追加している。プラットフォーム経営者はサービス契約と取引規則においてプラットフォーム上での公平競争ルールを明確化し、不正競争の通報・苦情処理及び紛争解決メカニズムを構築し、プラットフォーム上の事業者の法による公平な競争を指導・規範化しなければならない。プラットフォーム上の事業者が不正競争行為を行っていることを発見した場合、速やかに法に基づいて必要な措置を講じ、関連記録を保存し、規定に従いプラットフォーム経営者の所在地の県級以上の人民政府監督検査部門に報告しなければならない。
(出所 中国外文出版発行事業局が管理するニュースウェブサイト「中国網」)