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上海知的財産権裁判所 上海第三中級裁判所 知的財産権保護強化の典型的判例を発表

時間:2020-12-01

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上海知的財産権裁判所と上海第三中級裁判所が共同で記者会見を開き、知的財産権保護の実績を発表した。

2018年以降、上海知的財産権裁判所は合計7498件の知的財産権民事、行政案件を受理し、6598件の裁判を終了した。上海三中裁は99件の知的財産権刑事案件を受理し、94件の裁判を終了した。両裁判所は中央政府の『知的財産権裁判分野の改革・革新に関する若干問題についての意見』と『知的財産権保護の強化についての意見』の実行をめぐり、「保護強化」、「厳格保護」理念を徹底的に貫き、経済社会発展における重点分野、カギとなる分野、最先端分野に焦点を合わせ、新技術、新業態、新ビジネスモデルを対象に、知的財産権保護の強化に力を入れている。科学技術イノベーションの背景と産業発展の状況とを総合的に検討し、イノベーションの保護、奨励、知的財産権の市場価値の発揮に有利となる判決を下し、知的財産権保護の範囲、度合い及びその技術貢献度の相応を目指す。馳名商標や「老舗」の商業価値、歴史的価値に十分に配慮し、商標保護の利益バランスを実現する。各方面の利益を統一的に考慮して、インターネットの文化創意やスポーツ業界における著作権の保護を強化する。不正競争行為の摘発により、市場の秩序ある競争と健全な発展を促進する。

記者会見では10の典型的判例が発表された。内訳は民事案件6件、刑事案件3件、行政案件1件であり、専利権侵害、商標権侵害、著作権侵害、不正競争係争、模倣品販売罪、「ディープリンク」著作権侵害罪及び行政処罰不服申立などが含まれ、民事、刑事、行政裁判の「三位一体」による知的財産権保護強化の総合効率を全面的に反映している。典型的判例から見ると、裁判所は、権利侵害の大元、繰り返しの権利侵害、大規模な権利侵害などの情状が深刻な権利侵害行為について法に照らして賠償額を高目に確定して権利侵害者に高めの代償を支払わせ、仮判決、行為保全令を発して権利侵害を直ちに阻止し、証拠提示令を下して行為者の挙証責任を強化している。知的財産権侵害が深刻で、犯罪の情状から執行猶予などの非拘禁刑が適用できない場合、自由刑に処するほか、財産刑の処罰を厳格化し、犯罪者の不法収益と再犯能力を剥奪する。知的財産権行政法執行行為に対する司法審査・監督を強化するとともに、行政機関による知的財産権侵害行為に対する行政処罰の厳格化を支持し、知的財産権の司法保護と行政保護という「二重制度」が効果的に働くように促進する。

上海知財裁判所、上海三中裁の陳亜娟所長は、「裁判所は法に基づいて知的財産権を厳格に保護していると国民に伝えたい。司法保護の主導的な役割を最

大限に果たし、どの判決からも発明者や権利者に公平・公正を感じさせ、イノベーションへの尊重、権利の保護を感じさせ、安定した公正で透明で期待できる経営環境と革新・起業環境を作り出し、国内大循環を主体として、国内・国際の二重循環(デュアル・サーキュレーション)」が相互に促進する新たな発展構造の構築に貢献したいと思う」と述べている。