最高裁判所は4月16日、『最高裁判所知的財産権法廷年報(2019)』を発表し、最高裁判所知的財産権法廷裁判規則データベース(以下は「裁判規則データベース」と称する)をオンライン公開した。
最高裁判所知的財産権法廷が2019年に審理した案件には次の六つの特徴がある。
一、案件は幅広い技術分野に及んでいる。当事者が保護を求める知的財産権は医薬、遺伝子、通信、機械、農林業など国民経済・国民生活、先端技術、衣食住・交通と密接する多くの分野をカバーしている。
二、案件が社会に大きな影響を与える。例えば、案件にかかわる知的財産権の市場価値が高く、一審での賠償請求額が1000万人民元以上の案件が17件、1億元以上の案件が3件あった。案件は標準必須専利、医薬専利など先端技術や国民経済・国民生活に関わり、社会の注目を浴びている。
三、多くの案件は複数の手続きが交錯している。法廷は、当事者が相互に複数の裁判所で複数の民事・行政訴訟を提起した関連案件を数多く受理した。このような案件は複数の裁判レベル、異なる手続きに関わっている。法廷は審理プロセス、裁判尺度、一括調停などの面で上手く調整し、比較的良好な効果を収めた。2019年に終了した二審案件の調停和解・取下げ率は29.9%に達した。
四、案件の審理期間が短い。民事、行政プロセスが交錯し、技術事実の究明が難しいなどにより、技術系知的財産権案件の審理期間は通常比較的長いが、同法廷が2019年に終了した二審実体案件の審理期間は平均してわずか73日で、技術系知的財産権の訴訟期間が長い問題を効果的に改善した。
五、中国・外国当事者の合法的な権益を平等に保護した。外国、香港・マカオ・台湾にかかわる案件は全体の8.9%を占め、一部の案件は多国間訴訟の一部分であり、国外で提起された専利権侵害訴訟と相互に影響する。法廷は中国と諸外国の各種市場主体の知的財産権を区別なく同等に扱い、平等に保護している。
六、司法保護強化のトレンドが明らかである。信義誠実保障メカニズムを活用し、文書の提出命令の履行を拒んだり、故意に保全製品を毀損するような場合、上記行為者に不利な事実推定を採用する。終了案件のうち、権利者勝訴の案件は全体の61.2%を占めている。
また、今回オンライン公開された裁判規則データベースは、中国で初めて技術系知的財産権案件裁判規則を収録、整理、公表したデータベースである。最初にオンライン公開された規則には最高裁判所知的財産権法廷による2019年の典型的で指針となる裁判文書と裁判規則を収録されている。裁判規則データベースの公開と活用は、技術系知的財産権裁判基準を統一化させるための重要措置で、技術系案件審理の品質と効率を向上させるための強力な保障でもある。