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浙江高裁が『電子商取引プラットフォームにおける知的財産権案件の審理ガイドライン』を発表

時間:2020-01-30

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先頃、浙江省高等裁判所(以下、浙江高裁という)が『電子商取引プラットフォームに関わる知的財産権案件の審理ガイドライン』を発表した。同『ガイドライン』は電子商取引プラットフォームに関わる係争における「通知-削除」ルール、電子商取引プラットフォームの誤り認定、誤通知や悪意通知などの問題について、「利益のバランス」、「権利と責任の一致性」、「共同管理」という裁判理念を確認したうえで、知的財産権裁判のガイドと参考を提供するために、具体的な問題の解決に意見を提出した。 

『ガイドライン』は「電子商取引プラットフォームに関わる知的財産権案件を審理する場合、「厳格保護」を基本的方向として、知的財産権権利者、電子商取引プラットフォーム事業者、プラットフォーム上の出店者と社会公共利益との関係を上手く取り扱い、各主体間の利益バランスを図り、電子商取引プラットフォーム事業者の自己管理の権限を尊重すると共に、その行動の限界を明確にし、その法的責任を合理的に裁き、司法保護と行政法執行、調停、仲裁の繋がりを強化し、電子商取引の諸主体の共同管理を支持しなければならない」と強調している。 

「通知-削除」ルールについて、『ガイドライン』は「電子商取引プラットフォーム事業者は法律規定の範囲内において、自分自身の審査上の必要性、知的財産権の種類、産業発展の実情などの要素に基づき、通知とカウンター通知に関する具体的な要求を明確化して細分化することができ、これを合理的な方式で公表してよい。専利にかかわる通知について、電子商取引プラットフォーム事業者は知的財産権権利者に権利侵害対比の説明の提示を要請することができる。意匠や実用新案にかかわる場合、専利権評価報告書(或いは無効審判の審決)の提示を要請することができる」と指摘している。また、電子商取引プラットフォームの誤り認定について、「電子商取引プラットフォーム事業者がプラットフォーム上の権利侵害行為の存在を知り又は知り得ながら必要な措置を即時にとらなかった場合、権利者から通知を受けなかったとしても、権利侵害人と連帯責任を負うものとする」と指摘している。 

浙江高裁知的財産権裁判グループの蒋中東グループ長によると、電子商取引産業の急速な発展に伴い、浙江省の裁判所で受理する電子商取引プラットフォームにかかわる知的財産権案件も年々急増しており、2014年~2018年に浙江省の裁判所で受理したアリババ社、京東社、拼多多社などの電子商取引プラットフォームにかかわる知的財産権民事一審案件は1.55万件余りで、関係案件全体の16%を占め、年平均伸び率は88%にも達しているという。