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中国国家知識産権局 人工知能システムを発明者の対象外と規定するガイドラインを提案  

時間:2024-12-30

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このほど、中国国家知識産権局が『人工知能に係わる特許出願のガイドライン(意見募集稿)』(以下、「意見募集稿」という)についてパブリックコメントを募集した。意見募集稿において最も注目を集めたのが発明者の資格問題、すなわち人工知能システムが発明者として署名できるかどうかである。近年、このタイプの特許出願が人々の関心を引き付けるホットな問題となっている。

意見募集稿は次のように規定している。専利出願書類に署名する発明者は自然人でなければならず、人工智能システム及びその他法人は発明者となることができない。発明者が複数いる場合、全ての発明者が自然人でなければならない。収益を受け取る財産権と署名の人身権は民事権利であり、中国民法典に定められた民事主体のみが発明者関連の民事権利の権利者になることができる。人工知能システムは現在、

民事主体として民事権利を享受することはできないため、発明者として扱うことはできない。

近年、人工知能技術の革新が新たなブレークスルーを続け、関連専利出願件数も飛躍的に伸びている。人工知能技術は新たな技術革新と産業モデルチェンジの重要な原動力となり、発展への巨大な潜在力を示しており、世界の主要国は人工知能の発展を国家戦略の領域まで引き上げている。中国中央政府は人工知能などの新しい技術分野の知的財産権保護を重要視し、新技術、新分野、新業態の知的財産権法規・政策体系の構築と改善について一連の重要指示を出した。人工知能関連の知的財産権制度を改善し、現行の専利審査基準をさらに明確化、詳細化して、イノベーション主体が強い関心をもつ本質的な問題を速やかに解決するため、国家知識産権局が意見募集稿を作成した。この文書は現行の専利法の枠組みに基づき政策を解釈するための付属文書であり、出願者が現行の専利審査政策に対する理解を深めることへのサポートを目指している。

130000字にも及ぶ意見募集稿は、人工知能分野のホットトピックと関連審査政策を中心に書かれ、発明者の身分の認定問題について論証しているほか、以下の主な内容も含んでいる。人工知能に関わる専利出願の主な種類と法的問題をまとめ、人工知能のアルゴリズムやモデルに係わる専利出願、人工知能のアルゴリズムやモデルの機能や産業応用に係わる専利出願、人工知能に補助されて完成した発明に係わる専利出願、人工知能によって完成された発明に係わる専利出願の4つの種類を一般的なタイプとしている。その上で、イノベーション主体が強い関心をもつコアな要求に主眼を置き、人工知能分野の当面の5つのホットな法的問題を包括的にまとめている。方案の対象の基準について、人工知能のアルゴリズムやモデルに係わる専利出願、人工知能アルゴリズムやモデルの機能や産業応用に係わる専利出願について、対象要件を満たす方法を説明している。明細書の十分な開示について、発明の本質的部分に関連する内容が十分な開示の要求を満たさなければならないことを明確にし、現行審査規定と実務における人工知能関連専利出願の開示要件をさらに詳細化し、人工知能分野の「ブラックボックス」問題に積極的に対応している。また、進歩性の有無の判断については、審査基準の解釈と参照例の提示により、アルゴリズム的特徴と技術的特徴がどのように機能的に支え合い、どのような相互作用の関係にあるかを明らかにし、進歩性の有無の判断においてアルゴリズム的特徴の技術的寄与を考慮する必要があることを示している。また、人工知能の倫理についても指導的意見を出している。

(法治網から翻訳)