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2020年中国知的財産権保護状況白書が公布

時間:2021-05-27

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中国国家知識産権局は4月25日、『二○二○年中国知的財産権保護状況』白書を公布した。保護の効果、制度の構築、承認と登録、文化的構築及び国際協力など多方面から2020年の中国知的財産権保護の実務と進捗を総括し、1年間の知的財産権保護活動の成果を紹介したもので、全文約2万字である。

一、保護の効果について、白書は、各関係部門が知的財産権司法保護と行政法執行を強化し、重点分野での特別なガバナンスを引き続き推進し、作業のメカニズムを改善して、イノベーション駆動型発展戦略の実施、安定的かつ公平で予測可能な経営環境の構築のために強力な制度的保障を提供したと指摘している。2020年の中国知的財産権保護の効果は各国のイノベーション主体や国際社会に高く評価された。知的財産権保護の社会満足度が80.05点(100点満点)と最高点を更新した。世界知的所有権機関が公布した2020年世界イノベーション指数報告書によると、中国は14位となっている。

二、制度の構築について、白書は、法治主義(「依法治国」)戦略の全面的な推進に従い、各関係方面が法に基づいて職責を果たし、知的財産権に関する法律・法規体系の改善、完備化を継続したことで、知的財産権保護の法治化が更に向上したと指摘している。2020年に中国は知的財産権関係法律・法規4本の改正、知的財産権保護に関する司法解釈6本の公布、知的財産権保護関連政策20本以上の実施の発表、知的財産権保護に関する国家標準2本の公布を行った。

三、承認と登録について、白書は、各種の知的財産権の承認登録数が引き続き増加し、審査の質と効率が明らかに向上したと指摘している。2020年の中国の特許権付与数は53万件で、一万人あたりの特許保有数が15.8件に達した。商標登録数は576.1万件で、国内出願人によるマドリッド商標国際登録出願が7553件となり、マドリッド協定議定書締約国の中で第3位となった。著作権登録数は503.9万件であった。高価値専利の審査期間が14ヶ月、商標登録の平均審査期間が4ヶ月に短縮された。

四、文化的構築について、白書は、各地の各部門が知的財産権宣伝週間などの重要イベントの開催に成功したと指摘している。記者会見、典型的判例の発表、テーマ別の宣伝などの形で、多角的な視点から中国の知的財産権のストーリーを伝え、文明的で責任ある大国像を示した。

五、国際協力について、白書は、2020年に中国は引き続き世界知的所有権機関などの国際組織や各国・地域の知的財産権機関との交流、協力を深化させ、新型コロナウイルス感染症の知的財産権保護にもたらす悪影響への対応に、中国ならではの寄与をしたと指摘している。視聴覚的実演に関する北京条約の発効、地域的な包括的経済連携協定、中欧地理的表示保護協力協定の調印は、世界の知的財産権カバナンス体制のより公平で合理的な発展を推し進めている。

中国は1994年に初めての知的財産権保護状況白書を発表した。1998年からは年度ごとに取りまとめ、発表しており、すでに20年余りになる。白書はその年の知的財産権保護活動の進捗状況と優れた成果を客観的に反映してあり、中国の知的財産権保護状況を理解し、知的財産権保護を強化する中国政府の確固たる立場を伝える権威ある文書となっている。