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中国国務院弁公庁が『知的財産権保護の強化に関する意見』を公表 保護の四つの具体的方向を提示

時間:2020-01-30

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先頃、中国政府は『知的財産権保護の強化に関する意見』(以下、『意見』と略す)を公表し、各地区各部門に対して実態に即して徹底実施をするように求めた。 

『意見』は具体的な努力目標を次のように提出している。2022年までに権利侵害の多発を抑制し、権利者が権利保護の際に直面する「挙証難、長周期、高コスト、低賠償額」という状況を大幅に改善させる。2025年までに、知的財産権保護に関する公衆満足度の高レベルへの到達と維持、保護力の効果的な向上、保護体系の一層の完備化、知財価値を尊重するビジネス環境のさらなる最適化、知的財産権制度におけるイノベーション奨励の基本的保障機能のさらなる効率化を図る。では、具体的にどのようにして制度の完備化、メカニズムの最適化と図るのか? 

『意見』は知財保護について四つの具体的方向を提示している。 

保護の厳格化:制度の制約を強化し、知的財産権保護の厳格化の政策方針を確立 

厳格化の具体策として、先ずは「権利侵害・ニセモノ行為に対する懲罰の強化」である。例えば、専利、著作権などの分野において、権利侵害行為に対する懲罰的賠償制度の導入を加速すること、権利侵害に関する法定賠償額の上限を大幅に引き上げて、損害賠償を大幅に増額すること、知的財産権侵害犯罪の認定判定基準の緩和と、その量刑・処罰の強化などを検討して知的財産権侵害に対する刑事犯罪の取締りを強化することが挙げられる。 

また、証拠採用の基準を厳しく規制する。公証懸賞による権利侵害行為の証拠収集制度の確立を模索し、権利者の挙証負担を減らす。 

判決の執行措置を強化する。市場主体の信用評価ファイルにおける「ブラックリスト」制度を構築、改善し、背信行為に対する共同懲戒メカニズムを完備化させる。 

保護の全面化:社会の監督と共同管理を強化し、 全面的な知的財産権保護体制を構築 

社会共同管理モデルを構築し、健全化させる。知的財産権の仲裁、調停、公証の作業メカニズムを改善する。信用システムの構築に力を入れ、知的財産権の質権登録、行政処罰、抜き取り検査や点検の結果など企業関係情報を国家企業信用情報公開システムでとりまとめて法に従って公開する。 

保護作業の迅速化:協力・連動メカニズムを最適化させ、知的財産権の迅速保護の要所を突破 

権利保護の効率を着実に向上させる。多部門、多地域間の案件処理協力を強化し、地方保護主義を効果的に打ち破る。簡単な案件係争の加速処理を推進する。優勢産業の集中地域で複数の知的財産権保護センターを設立し、迅速な審理、迅速な権利確認、快速な権利保護を一括した「ワン・ストップ」式の係争解決案を提供する。 

保護の協同化:渉外案件の疎通メカニズムを完備化させ、知的財産権共同保護の良好な環境を構築 

海外権利保護の支援サービスを強化する。海外知的財産権係争の早期警戒・防備メカニズムを完備化させる。保険機構に知的財産権海外権利侵害責任保険、専利権実施保険、専利権被害損失保険などの保険業務を展開するよう促す。中国権利者の合法的権益が海外でも対等に保護されるよう効果的に推進する。