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クライスラー社の「JEEP」商標が中国馳名商標として司法認定を受けた

時間:2012-12-25

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     2012年12月3日、北京市第一中級人民法院で馳名商標の保護に係る6つの訴訟の集中審理が行なわれた。当所のクライアントであるクライスラー社(CHRYSLER GROUP LLC)は商標評審委員会の下した異議再審の裁定に不服とし提起した行政訴訟案件がその中の1つである。案件審決の結果、クライスラー社が原告として勝訴し、「JEEP」商標は中国馳名商標としての認定が認められた旨の判決が下された。

      クライスラー社は世界最大級の知名自動車メーカーであり、「JEEP」商標がそのもっとも重要な商標の1つである。「JEEP」は第二次世界大戦に生まれ、その後70数年の発展を経歴し、世界に誇る四輪駆動車のブランドである。中米外交関係が結ばれた1979年という早い時期に、北京自動車製造会社とクライスラー社の前身であるアメリカ自動車会社とは既に合資提携をめぐる商業交渉をスタートした。その後、1984年1月に北京ジープ自動車会社を設立し、中国市場で「JEEP」商標を登録、宣伝、使用し続けてきた。「JEEP」商標が中国市場で周知の商標として民衆に親しまれている。

      当所クライアントであるクライスラー社が、2008年1月14日に中国商標局に東莞市協和化工有限公司の第2類「顔料、ペンキ、金属保護製剤」など商品について出願した第4346189号「吉普?(「JEEP車」の中国語表記)」商標に対して異議申立を提起した。商標局は両商標の指定商品が非類似し、且つ異議人の提出した証拠では引用商標が馳名であることを証明できないとの理由で被異議商標の登録を認めた。クライスラー社がこの裁定に不服とし、商標評審委員会に対して不服再審を請求した。商標評審委員会は2012年3月28日に異議再審裁定を下し、「“JEEP”、“吉普”商標が被異議商標の出願日2004年11月4日以前にまだ馳名に至るまで有名ではなく、クライスラー社の“JEEP”、“吉普”商標が第12類商品自動車などにおいて一定の知名度があるが、両商標はそれぞれの指定商品が類似せず、両社の所属業界も明らかに異なるであることから、被異議商標の登録及び使用は消費者に混同誤認を生じさせない」と判断し、被異議商標の登録を許可した。

      クライスラー社は上記再審裁定に不服し、北京市第一中級人民法院に行政訴訟を提起した。人民法院は審理を経て、クライスラー社の「JEEP」商標が馳名商標として認定すべき旨の請求を支持し、商標評審委員会発行の第4346189号「吉普?」商標に関する異議再審裁定を取消するとの一審判決を下した。人民法院はこの一審判決でクライスラー社の「JEEP」商標が中国における長年にわたる使用及び宣伝し続けたことを通じて、業内で「JEEP」四輪駆動車が高い知名度を保有し、関連公衆にも周知されている事実を認めた。「JEEP」商標が2000年に「全国重要商標」として保護を受けたことがあり、また『中華人民共和国商標法解釈』での掲載によれば、20世紀80年代に中国で一番最初に馳名商標保護を受けた海外企業の馳名商標の1つであったことも分かる。したがって、原告証拠が馳名商標の認定基準に達しており、人民法院はクライスラー社の第1030611号「JEEP」商標を馳名商標として認定した。

      本件の担当弁理士は当所商標弁理士徐初萌及びそのチームメンバーである。

      当所代理の「JEEP」商標馳名商標認定案件は12月3日に北京市第一中級人民法院で集中審理された6つの訴訟案件の1つである。2001年12月1日に現行「商標法」が施行されて以来、北京市第一中級人民法院は当事者による馳名商標の請求案件1173件を受理したが、その内109件を馳名商標として認定した。裁判終了後に北京市第一中級人民法院は「馳名商標の司法保護強化」に関する記者会見で、馳名商標の司法審理に関する全体像を紹介し、公開判決した6つの馳名商標典型判例についてコメントし、馳名商標の司法保護に関する関連問題についての説明もした。今回の公開判決と記者会見を通して、中国司法部門が悪意の駆抜け登録を防止し、馳名商標への保護を強化する方針を表明した。中央テレビ、北京テレビ、法制夕刊、北京朝刊、中国商標週刊、人民網、新華網、中国日報網、鳳凰網、SOHO、SINAなど数多くのメディアはこのことに関して報道した。