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知的財産権裁判 革新的手法で顕著な「イノベーション」保護効果

時間:2021-12-10

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10月21日、全人代監察・司法委員会は第十三期全人代常務委員会第三十一回会議に知的財産権裁判調査報告書を提出し、全国各地の裁判所が用いた新たな革新的手法での「イノベーション」保護効果を明らかに示した。

報告書によると、近年、中国最高裁判所は知的財産権裁判の重要かつ困難な問題に焦点を当て、一連の司法解釈、規範的文書及び指導的判例を公布し、各地の裁判所は的確な把握と法による適用に努め、知的財産権裁判の質、効率並びに信頼性を絶えず向上させてきた。

挙証方式の革新について、各地の裁判所は証拠保全、文書提供命令、証明妨害などの制度を法により適用し、当事者に証拠を全面的かつ有りの儘に提出するよう指導し、当事者が自ら収集できない必要な証拠については、調査と証拠収集を強化している。当事者が「天平鏈(Tianping Chain)」などの電子証拠プラットフォームを利用して証拠を確保することを奨励し、証拠の調査収集における弁護士の役割を発揮させている。浙江省では2020年に知的財産権証拠保全申請126件を受理し、108件を支持、支持率は85.71%で、弁護士調査令418通を発行した。

知的財産権案件の平均審理期間が一般的な民事・商事案件より長いことを受け、各地の裁判所は様々な措置を講じ、審理期間の短縮化に努めている。山東省の裁判所は迅速審理メカニズムを改善し、商標権、著作権にかかわる簡易案件の要素に基づく審理を進めている。吉林省、安徽省などの裁判所は複雑度に応じて案件を分類処理し、簡易プロセス、迅速裁定プロセスの適用を拡大している。北京市の裁判所は専利案件の平均審理期間が275日で、発明専利一審案件の審理効率は世界の評価対象都市の中でトップである。

権利保護コストの削減、賠償基準の引き上げについて、各地の裁判所は先行判決、行為保全などの措置で権利侵害行為を適時に阻止し、権利者の合理的な権利保護の費用を支持している。当事者に知的財産権の市場価値評価報告書を提出するよう奨励し、合理的な損害賠償額を確定し、懲罰的賠償請求を法により支持している。司法の実務において、各地の裁判所が判決した平均賠償額はこれまでより明らかに増加した。北京市の裁判所は商標案件の賠償額を2015年の11万8000元から2019年の41万8000元に、専利案件の賠償額を42万8000元から61万9000元に、著作権案件の賠償額を2万5000元から3万9000元に、不正競争案件を43万5000元から84万7000元に引き上げた。最高裁判所は2021年3月に懲罰的賠償を適用した知的財産権侵害民事案件典型判例6件を公布した。その中の最高賠償額は5000万元にも達している。

技術の事実究明メカニズムの完備化について、北京市、海南省、吉林省などの地方裁判所は技術調査を主とし、技術諮問を補助とし、技術鑑定を補足とした多様な技術の事実究明メカニズムの構築に力を入れ、技術の事実究明難を効果的に解消し、技術案件裁判の質と効率の向上に強固な基礎を築いた。2018年から2020年までに、江蘇省では技術調査官が600回以上出廷し、意見書400通近くを発行した。

全面的な知的財産権保護体制の積極的な構築について、各地の裁判所は知的財産権保護をめぐる多部門間の協力メカニズムを改善し、司法保護、行政法執行、業界の自主規制などのプラスの相互作用を実現した。知的財産権の迅速な共同保護を支持し、全国38か所の知的財産権保護センターに職員を派遣し、当事者にワンストップサービスを提供している。業界団体、調停組織との協力による調停のクラウドプラットフォームと調停センターの設立、行政機関の主導のもとで締結された調停合意書に対する司法確認の調査、保護の協力と多様化した紛争解決メカニズムの構築と改善など、知的財産権保護のためのコラボレーションが形成されている。