北京知的財産権裁判所が5月30日、中国専利権の付与・確認に係る10大典型的判例を発表した。今回発表された10大典型的判例は、関連分野で初めての案件が数多くあり、裁判規則の明確化、業界のガイドラインの策定に重要な意義を持ち、化学、薬品、バイオ、通信などの新技術や新産業に係る専利権の付与・確認に対する司法の裁判審理での新しい考え方と規則を反映している。
セラコス サブ エルエルシー(泰拉科斯萨伯/THERACOS SUB LLC)の実験データ追加案件は、薬品分野の実験データ追加規則を明確にし、先発医薬品企業の合法的権益を十分に保護し、医薬業界のイノベーションへの情熱を十分に引き出すのに指針的な意義を持つ。
全国初のGUI意匠権の無効審判は、GUIという新しい意匠権保護対象に対して現行の権利確認規則の具体的な適用を積極的に試みており、先駆け的な意義を持つ。
モンサント社の塩基配列又はアミノ酸配列を含む特許出願の拒絶査定不服審判は、異なる方法で記載された塩基配列又はアミノ酸配列を含む特許を支持するかどうかについて十分に説明しており、裁判官によるこの種の案件の審理や当業者による同類クレームの作成に指針的な意義を持つ。
難燃剤特許出願の拒絶査定不服審判は、「化合物の新規性欠如に関する推定を覆す際の挙証責任」に係り、関係状況における特許出願人の立証義務を明確にする上で指針的な意義を持つ。
リナグリプチンの結晶形に係る特許無効審判は、既知化合物の結晶形に係る特許の新規性判断に係り、特許ポートフォリオの際の関連特許の情報開示順序と範囲について、重要な指針となる。
アップル社とクアルコム社の特許無効審判は、国際的に有名な科学技術企業間の知的財産権紛争に係り、「特許請求の範囲の限定的減縮」という補正方法を詳細に分析し、裁判所が市場化・法治化・国際化したビジネス環境を構築する取り組みを浮き彫りにした。
世界で唯一の経口「一回投与」の抗インフルエンザ薬であるバロキサビル マルボキシル(Baloxavir marboxil)前駆体化合物特許の無効審判は、マーカッシュ形式のクレームが明細書により裏付けられたかについて十分に説明しており、この種の案件を審理する上で重要な参考となる。
中国インスタントメッセンジャーアプリ・ウィチャットの情報共有機能・モーメンツ(朋友圏)案件は、状況別に「許可されたユーザのみがアクセスできるサイバースペースの情報は従来技術・デザインに該当するかどうか」を判断するためのルールを定めた。
インターナショナルテキスタイルグループ(国际纺织品集团/International Textile Group, INC)の特許無効審判は、「予測せぬ技術的効果」の達成に基づく進歩性の主張が裁判所によって支持された、司法実務において数少ない判例であり、技術的効果に基づいて進歩性を主張する特許にとって重要な参考となる。
OPTIS CELLULAR TECH LLC(光学细胞技术有限责任公司)とファーウェイ社の特許無効審判は、研究開発の各段階における技術課題の認定に係り、進歩性の判断において実際に解決した技術的課題を正確に認定することを規範化した。
北京知的財産権裁判所の杜長輝副長官は「中国の専利出願件数の急速な増加に伴い、北京知財裁判所が受理、裁判終了した専利権付与・確認案件も穏やかな増加傾向にある。2020年から2022年までに当裁判所は4977件を受理し、受理数は年平均13%増加した。裁判を終了した案件数は合計5760件で、このうち渉外案件は1468件で全体の2割を上回っている。これらは、イノベーション型国家としての中国の技術研究開発と保護の活発化を客観的に反映しているほか、世界のイノベーション主体が中国市場で特許ポートフォリオを強化していることを表すものである」と紹介した。
紹介によると、北京知的財産権裁判所は今後重要分野と新興産業の指導を強化するために典型的判例を適時発表し、司法機能を引き続き拡大し、イノベーション主体の新たな期待に積極的に応え、北京の国際科学技術イノベーションセンターの建設と国のハイレベルな科学技術の自立と強化のために高品質のサービスを提供する。
(京報網から翻訳)