2023年12月、改正された中国専利法実施細則・審査指南が正式に公布されました。
今回の主な改正要点は以下の通りです。
手続き
2024年1月20日以降、電子方式にて発行された庁通知については、15日間の郵送猶予期間が適用されなくなる。
引用による補充:中国出願日から2ヶ月以内に、出願人は優先権主張出願に記載された明細書又は請求項の全部又は一部の引用による補充を請求できる。
優先権の回復:優先権日から12~14ヶ月以内に中国発明・実用新案出願を提出する場合、優先権日から14ヶ月以内に優先権回復を請求できる。PCT出願について、国際段階において優先権が回復されなかった場合、出願人は、国内段階移行日から2ヶ月以内に優先権回復を請求できる。
優先権の追加・訂正:出願時に優先権を主張した場合、出願人は、最も早い優先日から16か月以内に優先権主張の追加または訂正の申請を提出できる。
発明者の変更:発明者の追加や削除は、受理通知書を受領してから1ヶ月以内にCNIPAに申請しなければならない。
新規性を喪失しない開示における学術・技術会議公開の範囲:新規性を喪失しない開示の学術・技術会議には、国務院の関連当局によって認められた国際機関が開催する学術・技術会議が含まれるようになる。【コメント:ETSIやITUなどの標準化団体が主催する会議は、上記の範囲内に含まれる可能性がある】
出願日から4年が経過し、かつ実体審査請求日から3年が経過した専利に専利有効期間の補償(PTA)が適用される。
実体審査と復審
カラー図面を提出することができる(実用新案出願も適用)。
復審請求の前置審査は、拒絶査定を下した審査官の代わりに、別の審査員が行うようになる。
信義誠実の原則
専利出願の諸手続きにおける信義誠実原則の遵守は、予備審査、実体審査、復審と無効審判において審査される。信義誠実原則の違反は、拒絶査定と無効化の理由とされる。
職務発明者・設計者への奨励金・報酬
専利発明者・設計者への奨励金
単位と発明者・設計者が奨励金について合意していない場合、発明専利の最低奨励金は3,000元から4,000元に引き上げられ、実用新案と意匠の最低奨励金は1,000元から1,500元に引き上げられる。
専利発明者・設計者への報酬
専利権者が報酬に関する規則を作成しておらず、発明者・設計者と契約を締結していない場合、『科学技術成果転化促進法』第45条の規定に基づき発明者・設計者に合理的な報酬を与えなければならない。
コンピュータ関連発明
コンピュータプログラム製品は、発明の適格性が認められるようになり、物理的媒体に組み込む必要がなく、オンラインのソフトウェアもカバーできる。
すべてのステップがコンピュータによって実行される方法は、発明の適格性が認められる。
医薬品関連の専利
専利権存続期間補償( PTE )は、「新薬」に含まれる医薬品有効成分(API)の製品専利、製造方法専利、医療用途専利に適用される。PTE =(中国で販売承認を得た日-中国専利出願日)-5年。PTEは最大5年であり、その結果、医薬品の販売承認後の専利権有効期間は合計14年以下でなければならない。
パテントリンケージ関連の無効案件の審査に関する特別規定が発表された。
実用新案
実用新案出願の審査には、進歩性が欠如するか否かの審査が含まれている。
被疑侵害者が実用新案の評価報告書を請求できるようになる。
意匠
a. 部分意匠
製品の相対的に独立した領域を形成していない場合、または相対的に完全な設計単位を構成していない場合は、部分意匠権を取得できない。
製品の表面上の模様、又は模様と色の組合せのみの意匠である場合は、部分意匠権を取得できない。
同一製品において、相互関連がない二つ以上の部分意匠は、機能又は設計において関連し、かつ特定の視覚効果がある場合、一件の意匠として出願できる。
部分意匠は、セット製品の意匠出願に含まれてはいけない。
先行出願が部分意匠出願である場合、製品の全体又は他の部分について分割出願を提出できない。
b. GUI意匠出願
GUI意匠出願は、全体意匠または部分意匠として出願可能である。
GUI意匠を全体意匠として出願する場合、図面に少なくともGUIが所在している面のハードウェア製品全体の正面図を含む必要がある。
GUI意匠を部分意匠として出願する場合、GUI意匠の正面図を提出しなければならず、ハードウェア製品を表示してもしなくてもよい。ハードウェア製品を表示しない場合、主題に「電子機器」のようなキーワードを含まなければならない。
GUIの一部を部分意匠として保護する場合、意匠の主題に保護される部分を示す必要がある。例えば、「電子機器のオンライン決済グラフィカルユーザーインターフェースにおける検索ボックス」。
動画GUI意匠出願の場合、必要に応じて、CNIPAは出願人にGUIの動画を実演する動画ファイルの提出を求めることができる。
c. ハーグ協定による国際意匠出願。中国は2022年にハーグ協定へ加盟したゆえ、審査指南には関連内容を記載する第六部分が新しく追加される。
d. 被疑侵害者が意匠の評価報告書を請求できるようになる。
専利法実施細則・審査指南の改正に関しご質問やご不明な点が御座いましたら、お気軽にliurh@ccpit-patent.com.cnまでご連絡ください。