第一条 産業構造の最適化・高度化を促進し、国の知的財産権戦略の実施及び知的財産権強国の建設を推進し、イノベーション駆動型発展に寄与し、専利の審査手続を整備するために、「中華人民共和国専利法」及び「中華人民共和国専利法実施細則」(以下、「専利法実施細則」という)の関連規定に基づき、本規則を制定する。
第二条 次に掲げる専利の出願又は案件における優先審査に、本規則を適用する。
(一)実体審査段階の発明の出願
(二)実用新案及び意匠の出願
(三)発明、実用新案及び意匠の出願に関する無効審判
(四)発明、実用新案及び意匠に関する無効審判
国家知識産権局がその他の国又は地域の専利審査機関と締結した二国間又は多国間協定に基づき優先審査を行う場合は、関連規定に従い処理し、本規則を適用しない。
第三条 次に掲げる情状のいずれかに該当する専利出願又は専利不服審判案件は、優先審査を申請することができる。
(一)省エネルギー・環境保護、次世代情報技術、バイオ、ハイエンド設備製造、新エネルギー、新素材、新エネルギー自動車、スマート製造などの国の重点発展産業に関係する。
(二)各省級及び区が設けられた市の市級人民政府が重点的に奨励している産業に関係する。
(三)インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの分野に関わり、かつ技術又は製品の更新速度が速い。
(四)専利出願人又は不服審判請求人が、実施の準備を完了している又はすでに実施している、もしくは他人がその発明創造を実施中であることを証明する証拠を有している。
(五)同じ主題について、最初に中国で専利を出願し、その他の国又は地区にも出願を提出する場合の中国での出願である。
(六)その他、国家の利益又は公共の利益にとって重要な意義があり、優先審査の必要がある。
第四条 次に掲げる情状のいずれかに該当する無効審判案件は、優先審査を申請することができる。
(一)無効審判案件が関係する専利に権利侵害の紛争が生じ、当事者がすでに、地方知識産権局による処理の請求、人民法院への提訴又は仲裁・調停組織による仲裁・調停の請求を行っている。
(二)無効審判案件が関係する専利が、国家の利益又は公共の利益に重大な意義をもつ。
第五条 専利出願、専利不服審判案件の優先審査を申請する場合は、出願人全員又は不服審判請求人全員の同意を経なければならない。無効審判案件の優先審査を申請する場合は、無効審判請求人又は専利権者全員の同意を経なければならない。
案件に関わる専利権侵害紛争を処理、審理する地方知識産権局、人民法院又は仲裁・調停組織は、無効審判案件について優先審査申請を提出することができる。
第六条 専利出願、専利不服審判案件、無効審判案件に対し優先審査を行う件数は、国家知識産権局が、各専門技術分野における審査能力、前年度の専利権付与件数及び本年度の審査待ち案件数などの状況に基づき決定する。
第七条 優先審査を申請する専利出願又は専利不服審判案件には、電子出願方式を用いなければならない。
第八条 出願人が発明、実用新案、意匠の出願に優先審査を申請する場合は、優先審査申請書、先行技術又は既存設計に関する情報資料及び関連する証明書を提出しなければならない。本規則第三条第五号に掲げる情状を除き、優先審査申請書には、国務院の関係部門又は省級知識産権局が推薦意見を記入しなければならない。
当事者が専利不服審判、無効審判案件の優先審査申請を提出する場合は、優先審査申請書及び関連の証明文書を提出しなければならない。実体審査又は方式審査の手続においてすでに優先審査を行った専利不服審判案件を除き、優先審査申請書には、国務院の関係部門又は省級知識産権局が推薦意見を記入しなければならない。
地方知識産権局、人民法院、仲裁・調停組織が無効審判案件の優先審査申請を提出する場合は、優先審査申請書を提出するとともに理由を説明しなければならない。
第九条 国家知識産権局は優先審査申請を受理し審査した後、審査意見を速やかに優先審査申請人に通知しなければならない。
第十条 国家知識産権局は優先審査を行うことに同意した場合、同意の日から起算して、次に掲げる期限までに決定しなければならない。
(一)発明出願は45日以内にファーストアクションを出し、かつ1年以内に審査決定する。
(二)実用新案及び意匠の出願は2か月以内に審査決定する。
(三)専利不服審判案件は7か月以内に審決する。
(四)発明及び実用新案の無効審判案件は5か月以内に審決し、意匠の無効審判案件は4か月以内に審決する。
第十一条 優先審査を行う専利出願については、出願人はできる限り速やかに回答又は補正を行わなければならない。出願人が発明の審査意見通知書に回答する期限は、通知書の発送日から2か月とし、出願人が実用新案及び意匠の審査意見通知書に回答する期限は、通知書の発送日から15日とする。
第十二条 優先審査を行う専利出願が、次に掲げる情状のいずれかにある場合、国家知識産権局は優先審査の手続を停止することができ、通常の手続に従い処理するとともに、速やかに優先審査申請人に通知する。
(一)優先審査申請が同意を得た後、出願人が専利法実施細則第五十一条第一、二項に基づき出願文書に対し修正を申し出た場合。
(二)出願人の回答期限が、本規則第十一条に規定する期限を過ぎた場合。
(三)出願人が虚偽の資料を提出した場合。
(四)審査過程において、正常でない専利出願であることが判明した場合。
第十三条 優先審査を行う専利無効審判又は無効審判案件が、次に掲げる情状のいずれかに該当する場合、専利復審委員会は優先審査の手続を停止することができ、通常の手続に従い処理するとともに、速やかに優先審査申請人に通知する。
(一)不服審判請求人が回答を延期した場合。
(二)優先審査申請が同意を得た後に、無効審判の請求人が証拠及び理由を補充した場合。
(三)優先審査申請が同意を得た後に、専利権者が削除以外の方式で請求項を修正した場合。
(四)専利不服審判又は無効審判の手続が中止された場合。
(五)案件の審理がその他の案件の審査における結論に依存する場合。
(六)判断が難しい案件で、かつ復審委員会主任の承認を経ている場合。
第十四条 本規則は、国家知識産権局が解釈について責任を負う。
第十五条 本規則は、2017年8月1日から施行する。同時に、2012年8月1日から施行した「発明専利出願に関する優先審査管理規則」は廃止する。