判例

TYPICAL CASES

202305-12

商標の混同・誤認:哈斯騰寝具有限公司vs.国家知識産権局 ((2021)最高裁判所行再第286号)

【Brief】

第25類の商品に使用する登録番号第9758664号の「HASTENS海絲騰」係争商標に対し、引用商標権者である哈斯騰寝具有限公司は無効審判を請求した。元工商行政管理総局商標評審委員会は、商評字[2018]第79992号無効審判請求決定を下し、係争商標は各引用商標と類似の商品・役務に使用される類似商標に該当しないとし、係争商標の効力を維持した。哈斯騰はこれを不服として訴訟を提起した。北京知的財産権裁判所と北京市高等裁判所は商標評審委員会の決定を支持した。哈斯騰が再審を申請した後、最高裁判所は本件を指定審理し、2022年6月28日に判決を下し、第25類「服装」などの商品に使用される係争商標は、第24類「織物」などの商品に使用される引用商標の「海絲騰」、「HASTENS」と類似の商品に使用する類似商標に該当し、商標法第30条の規定に違反し、法に基づき無効とすべき、原審判決および商標評審委員会の決定を破棄すると判決を下した。

【Reasoning】

係争商標と引用商標が混同や誤認を引き起こす可能性を判断するには、商標標識の類似度、商品の類似度、引用商標の顕著性と知名度、関連公衆の注目度、商標出願人の主観的意図、実際の混同の証拠などを総合的に考慮しなければならない。本件において、引用商標に関わる「海絲騰」と「HASTENS」は架空の単語・文字の組み合わせであり、特定の意味を持たなく、商標として使用する際に強い識別性を有する。係争商標は中国語の「海絲騰」と「HASTENS」を上下に並べて組み合わせたものであり、引用商標の関連要素と完全に同じである。係争商標の使用が認められた「服装、帽子」などの商品と引用商標の使用が認められた「織物、紡織織物」などの商品と、機能及び用途などに相違があるものの、「服装、帽子」の原材料は一般的に織物であり、両者の間に一定の関連性がある。係争商標と引用商標との類似度、商品の関連性及び引用商標の顕著性などを総合的に考慮すると、市場における係争商標と引用商標の共存は、二つの商品の出所に特定の関係があると消費者に誤認を引き起こす可能性がある。

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