判例

TYPICAL CASES

202305-25

YKK株式会社vs. 煊麗展鵬(天津)貿易有限公司、吉田(天津)国際貿易有限公司、李小雄 商標権侵害・不正競争案件((2022)津03民初第75号)

【Brief】

原告のYKK株式会社(旧社名:吉田工業株式会社)は、1934年に設立され、日本に本社を置く世界的に有名なファスニング商品メーカーである。1946年1月から「YKK」を商標として使用し始め、同社が生産した「YKK」ファスナーは洋服、靴、カバン、寝具などに広く使用されている。YKK株式会社は、早くも1992年に中国市場に参入し、上海吉田ジッパー有限公司を設立した。その後、大連、天津、深セン、蘇州、無錫などにジッパー、スナップ・ボタン、建築材料、工業機械などの会社を設立した。YKK株式会社は、商標権侵害と不正競争法違反として訴訟を裁判所に提起し、被告らは「YKK」商標権の侵害および不正競争行為を直ちに中止し、煊麗展鵬(天津)貿易有限公司はドメインネーム「ykktj.com.cn」を直ちに使用中止し、登録抹消し、吉田(天津)国際貿易有限公司は会社名を使用中止し、変更し、会社名に「吉田」の文字を含んではならないとの判決を求めた。天津市第三中級裁判所は、原告の不正競争の訴訟請求を支持した。

【Reasoning】

煊麗展鵬(天津)貿易有限公司のホームページのドメインネームに原告の知名度のあるドメインネーム「ykk.com」の主要部分が使用されたことにより、消費者が当該ホームページは原告の天津支店のホームページであり、或いはその商品と原告の商品に特定の関係があると誤解する可能性があり、不正競争行為に該当する。煊麗展鵬(天津)貿易有限公司は自社のホームペイジに「YKK公式正規販売店」、YKKの正規販売店証明書を表示し、電子契約書に「YKK正規販売店」と記載し、従業員のWeChatのプロフィールに「YKK天津」と表示し、マイモーメンツに「YKKジップ正規販売店」と記載することは、虚偽の商業宣伝であり、不正競争行為でもある。原告の旧社名である「吉田工業株式会社」の「吉田」の文字は、その分野で特徴的かつ著名なものであり、長年にわたって蓄積されたビジネス信用を背負っており、現在の会社に継承された。原告にとって、市場における競争力及びビジネスチャンスの獲得・維持の重要な要素である。被告の吉田(天津)国際貿易有限公司は、「吉田」の知名度を認識していたはずなのに、会社名登録の際に合理的に回避しなく、「吉田」を主要部分とする会社名でジッパーの取引を行っていた。主観的には原告のビジネス信用を利用して市場シェアを高めようとする意図があり、客観的には原告と特定のつながりがあるとの誤解を招き、原告の市場競争上の優位性を損なうことになり、信義誠実の原則及び商道徳に反し、不正競争行為に該当する。

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